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東京電力「首都停電」 35年超の同型ケーブルが全長1000kmにも。福島原発事故と同じく、事故を起こして初めて不備がわかる東電の構造(東京新聞)

2016-10-14 19:15:00

tepco3キャプチャ

 東京都内の約五十八万六千軒に影響が出た大規模停電で、東京電力は十三日、埼玉県新座市で燃えた地下送電ケーブルと同型のケーブルのうち、敷設から三十五年以上経過したものが東電管内の一都八県で全長千キロあると発表した。これは同型ケーブルの総延長の三分の二に及ぶ。東電はケーブルの劣化が出火原因とみており、十四日までに一斉点検し、異常がないか調べる。

 

 燃えたケーブルは「OFケーブル」と呼ばれている。一本の直径は十三センチで、通電する銅製の導体の内側に絶縁のための油が流れるパイプがあり、電線の外側には油を染み込ませた紙が何重にも巻かれ、漏電を防ぐ構造。東電は、紙にひびが入ったことで電流が漏れて火花となり、油に引火した可能性があるとみている。

 

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 OFケーブルは一都八県の地下トンネル内に約千五百キロ張り巡らされており、東京二十三区内は八百六十七キロ。高度経済成長期の急速な電力需要の増加に対応するために敷設されたという。

 

 東電はOFケーブルの耐用年数を定めていない。年一回、目視で破損などがないかを確認し、これとは別に年二回、油の量や圧力を点検。異常がなければ使用を続けている。ただ維持管理に手間がかかり、劣化による漏電の危険があるため油を使わないケーブルへの切り替えを進めている。

 

 ただ、都心での切り替えは遅れているのが実情だ。十三日の記者会見で、送電網を担当する東電パワーグリッドの中人(なかひと)浩一工務部長は「道路事情などから作業時間が限られるなど、条件が整わないとできないため、少しずつしか進められない」と説明した。

 

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◆延焼防止対策に遅れ ケーブル束シートで覆われず

 

 埼玉県新座市で燃えた地下送電ケーブルについて、東京電力は十三日、延焼を防ぐ対策をしていなかったことを明らかにした。対策がされていれば、被害拡大を防げた可能性があった。

 

 東電によると、送電ケーブルが敷かれた地下トンネル内には、ケーブル三本をまとめた束が六つある。火元は敷設から三十五年が経過したケーブルの束の一つとみられているが、この束は延焼を防ぐためのシートで覆われていなかった。六つの束のうち一つだけが延焼防止のシートで覆われていたが、他は二〇二一年までに終える予定だった。狭いトンネル内での工事は難しく時間がかかるため、対策が遅れているという。

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201610/CK2016101402000121.html