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国際金融公社(IFC) アフリカ・ケニアでの森林伐採・劣化防止のREDD+クレジットを活用した初の「森林ボンド」発行へ。利回りにクレジットも盛り込み(RIEF)

2016-10-18 22:13:42

REDD3キャプチャ

 

 国際金融公社(IFC)はアフリカのケニアでの森林保全のREDD+プロジェクトから生み出されるカーボンクレジットを対象とした初の「森林ボンド(Forest Bond)」を発行する。投資家は現金利回りか、あるいはプロジェクトからのクレジットをリターンとして得るユニークな仕組みだ。

 

 REDD(Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation)は、途上国の森林減少・劣化に由来するCO2排出の削減のことで、森林減少・劣化を防ぐことで、逆にCO2排出を抑制する評価ができる。さらに「+」は、このREDDに、持続可能な森林経営などのプラスの概念を加えたもの。

 

REDD2キャプチャ

 

  森林伐採・劣化によるCO2排出量は世界全体の温室効果ガス排出量の15%を占める。REDD+は、こうした伐採・劣化を防ぐことで、森林の持つCO2吸収力を評価し、さらに森林経営など経済的効果も加味する温室効果ガス対策の一つ。対象プロジェクトを維持することでクレジットを認証し、その売却益を森林の維持管理や原住民の生活支援などに充当する。

 

 IFCが初の「森林ボンド」の対象としたプロジェクトは、東ケニアのKasigau Corridor project。50万エーカーの広大な半乾燥地帯の低木林地で、アカシアが中心の森林が点在している。原住民らは、森林は家畜用飼料や、落葉落枝は燃料に利用したりしているという。

 

REDDキャプチャ

 

  同地域を維持することで、年間140万㌧のCO2排出量を相殺するクレジットを今後30年間にわたって供給できる見通し。同地域は生態系保護と気候変動評価を踏まえた「Climate、Community and Biodoiversity Standard(CCBS)」からゴールドレベルの評価を得ている。

 

 IFCは同プロジェクトの事業主体からクレジットを購入、発行する森林ボンドのクーポン利回りに充当する。ボンドは償還期間5年、機関投資家の購入意欲次第で、最小7500万㌦から最大1億5000万㌦の規模で発行する。

 

 調達資金の使途は、「グリーン」と限定せず、IFCの通常のプロジェクトのファイナンスに充当するという。REDDクレジットのカーボン価格は1単位当たり5㌦と評価される。ボンドの販売幹事はBank of America Merrill Lynch、 BNP Paribas、JP Morganが担当する。

 

 ボンドを購入した投資家は、取得するクレジット分を自らのカーボン・フットプリントの相殺に活用するか、あるいはオフセットマーケットで売却してもいい。資源開発大手のBHP BillitonはIFCからクレジットを大量購入することで、市場に流動性を供給する役割を担うという。

 

 IFCは今後5年間、同プロジェクトの持続性を維持するため、 継続的にクレジットを購入する。REDD事業を推進するNGOのConservation InternationalがREDD+の適格クライテリアの提供と、プロジェクトの持続可能性についてのアドバイスを担う。

 

http://www.coderedd.org/about-redd/

http://www.ifc.org/wps/wcm/connect/corp_ext_content/ifc_external_corporate_site/home