HOME |GRI 初の報告書スタンダード(GRIサステナビリティ報告基準)公開。評価ガイドライン提供から、報告書作成へ関与拡大。G4に準拠。G4は2018年7月に廃止へ(RIEF) |

GRI 初の報告書スタンダード(GRIサステナビリティ報告基準)公開。評価ガイドライン提供から、報告書作成へ関与拡大。G4に準拠。G4は2018年7月に廃止へ(RIEF)

2016-10-23 23:36:21

 サステナビリティ情報開示の国際基準を展開しているGlobal Reporting Initiative (GRI:本部アムステルダム)は、「GRIサステナビリティ報告基準( GRI Sustainability Reporting Standards)」を公開した。GRIはこれまでESG評価のガイドラインを提供してきたが、報告書のスタンダードを提供することで、報告業務への関与強化を目指す。

 GRIは昨年11月、自らが設立した独立の基準設定機関「グローバル・サステナビリティ基準審議会(Global Sustainability Standards Board: GSSB)」にの承認を踏まえて、従来のガイドラインから「報告基準」への移行計画を進めていた。http://rief-jp.org/ct4/60620

 これまで各企業は、GRIのESG評価基準を元に、自社のESG分野の評価をし、それを自らの報告書の中に盛り込む形が多かった。評価項目はGRIに準拠しているが、報告の仕方は各社が、報告書作成会社と協議しながら、独自に工夫してきたわけだ。
 GRI2キャプチャ

 今回の報告基準の制定によって、GRIの評価基準を活用する場合は、報告のデユーデリジェンス(手順)についても標準化されることになり、評価から報告書作成まで、GRIの関与が高まる。逆に言うと、これまでのCSR報告書等の作成事業者の役割が低下する可能性もある。

 GRIは「非財務情報の開示の『共通言語』を各企業が使えるようになり、世界中の企業が経済と環境や社会に与える影響の透明性が高まる」と意義付けている。また国連が推進する持続可能な発展目標(SDGs)に企業が貢献するうえでの経営判断にも活用できると、指摘している。

 GRIは、企業のESG(環境、社会、ガバナンス)情報を評価する自主的尺度として、2000年以来、GRIガイドラインを公表してきた。現在は、2013年に4回目の改定をしたG4ガイドラインを出している。世界の多くの企業がこのガイドラインに沿ってサステナビリティ報告書や環境報告書を作成、公表している。

 

 公開された報告基準も、G4を踏まえ、報告のための新しいフォーマットや、モジュール構造を備えたものとなっている。報告書基準の公表を踏まえて、評価基準としてのG4は2018年7月1日で終了する予定。

 

 これまでG4で示していた一般標準開示項目をまとめている。まず101「Foundation」として、マテリアリティを特定するプロセス、および準拠状況の報告について、102「General Disclosures」では、企業概要、戦略、ガバナンス、ステークホルダーエンゲージメントなど、103「Management Approarch」では、企業が自社のマテリアルなトピックスをどうマネジメントしているかなどを開示する。

 GRI1キャプチャ

 

 また200「経済」、300「環境」、400「社会」と、特定分野についての開示標準を定めている。準拠については、G4と同様に、中核か包括かについて明示するほか、必要な開示情報を省略する場合の基準についても明確化されている。 

 

 報告基準は全体で36のモジュラースタンダードで構成されており、それらによって企業の温室効果ガス排出量、エネルギーや廃棄物の使用量、労働慣行等が開示される仕組みだ。

 

 GRIは新報告基準を普及させるため、11月2日に北米で「Launch event」を開催するのを皮切りに、世界中で報告会を開く予定という。

 

https://www.globalreporting.org/standards?lfpeid=FaXddtrKFS3G&lfmaid=1000000116-2