HOME11.CSR |新入社員過労自殺の電通を 厚生労働省が3度も「働きやすい企業」として「くるみん認定」。労基署の勧告後も認定。ズサンな役人審査露呈(RIEF) |

新入社員過労自殺の電通を 厚生労働省が3度も「働きやすい企業」として「くるみん認定」。労基署の勧告後も認定。ズサンな役人審査露呈(RIEF)

2016-10-27 20:56:57

kuruminキャプチャ

 

 新人社員が過労自殺した大手広告代理店の電通に対して、厚労省が、労働時間短縮や子育てに積極的に取り組んでいる「働きやすい企業」に与える「くるみん認定」を過去3回にわたって与えていたことがわかった。同認定を受けると税制優遇の特典を利用でき、電通は社員を自殺に追い込む一方で、税制優遇を享受していたことになる。

 

 くるみん認定は、厚生労働省が次世代育成支援対策推進法に基づく。労働時間短縮や子育てなど、社員が働きやすい職場環境を実現する行動計画を策定し、その計画に定めた目標を達成、一定の基準を満たした企業を、「子育てサポート企業」として、認定を受けることができる仕組みだ。今年6月末現在で、2570社が認定を受けている。認定基準には、「所定外(残業)労働時間の削減」「有休取得」とともに、「法令に反する重大な事実がない」ことも入っている。

 

 認定されると、社内に保育施設や授乳コーナーなどの「次世代育成支援資産」を設けた際、割増償却を受けるなどの税制優遇措置を利用できる。電通はこれまで2007年、10年、15年と3回にわたって認定を受けている。さらに08、09年度には、同省の「仕事と生活の調和推進モデル事業」において、「日本を代表する企業10社」にも選ばれている。

 

 しかし、この間、電通は13年に男性社員が過労死しており、14年には関西支社で、違法な長時間労働があったとして、労基署から是正勧告を受けている。昨年12月に新入社員の高橋まつりさん(24)が自殺する前の15年8月にも東京本社が是正勧告を受けている。

 

 「くるみん認定」を受けた企業は、広告などで「くるみんマーク」を使うことが出来、働きやすい企業であると世間にアピールできる。大学生などの企業選びでも評価基準のひとつになっているほどだ。

 

dentsuキャプチャ

 

 厚生労働省は労基署から長時間労働の是正勧告が2年連続で出されているのに、2015年にも再び電通が認定を受けた点について、「過去に是正勧告が出されていても認定の審査をクリアしているということは、認定審査の時点で改善状況が報告されていたため、法令に違反していないという判断になったと思う」とコメントしている。http://www.huffingtonpost.jp/2016/10/26/kurumin-dentsu_n_12653898.html?utm_hp_ref=japan

 

 しかし、その後に、高橋さんは長時間労働で自殺しており、改善はなされていなかったことは明白だ。「改善しました」という書面審査を鵜呑みにしたのか、あるいは広告会社の電通の巧みな説明にだまされたのか。いずれにしても、役所認定の「くるみん」ブランドのいい加減さを露呈したことも間違いない。

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/kurumin/index.html