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ユニリーバ・ジャパン、サプライチェーンの協力会社も、ほぼ100%再生可能エネルギー電力に。グリーン電力証書購入で相殺。火力発電によるコストアップを先取り(RIEF)

2016-11-01 15:35:36

unileverキャプチャ

 

 ユニリーバ・ジャパンは、国内の協力会社が生産過程で使う電力のほぼ全量を再生可能エネルギー電力に切り替えた。昨年11月の時点で、同社の国内全事業所での使用電力は100%再生エネ電力化を完了しており、今年初めから取引先の協力会社にも拡大を続けていた。これにより、同社の製品からのCO2排出量はゼロとなり、カーボンニュートラルが実現することになる。

 

 同社は昨年11月に、国内の全事業所で使用する年間551万kWhの電力を、節電に加え、グリーン電力証書の購入によって100%再エネ電力に切り替えを実現した。これを受けて、年初からは協力会社への拡大を第二ステップとして続けてきた。温暖化対策の新ルールであるパリ協定の発効を控え、将来的に火力発電のコストが上昇するとの判断に基づく。

 

 協力会社の再エネ電力への切り替え分も、グリーン電力証書でカバーする。その結果、同社の国内全事業所と協力会社を合わせた年間電力消費量は1127万kWhとなる。協力会社分の購入費用についても同社が負担する。このため、同社のグリーン電力証書の購入量は約2倍に増大する。証書は日本自然エネルギーから購入する。

 

 サプライチェーンリスクの回避のため、取引先や協力会社に対して、CO2排出削減を要請する企業は日本でも増えている。だが、削減コストを取引の中でどうカバーするかが課題となって、十分には進んでいない。そこでユニリーバは、同社が協力会社の再エネ導入費用についても同社が負担することで、サプライチェーン全体での「100%再エネ企業」という称号を手に入れる道を選択した。

 

 同社の判断は企業の社会的責任(CSR)としての決断に加え、経済的なメリットもある。再エネ発電コストが毎年急ピッチで低下している一方で、石炭やガスなどの化石燃料を使う火力発電の燃料費は中長期的に上昇傾向にあるためだ。パリ協定発効後、CO2排出削減対策の費用が増加すると、火力発電の電力はさらにコストアップされる可能性が高い。

 

 ユニリーバは、2010年にグローバルベースで、成長とサステナビリティの両立を目指すビジネスプランである「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」を発表している。環境負荷の削減、すこやかな暮らし、経済発展の3つの分野で2020年までに達成する数値目標の設定と、それを実現するアクションプランを立てている。このうち2020年までに製品の製造・使用から生じる環境負荷を半減する目標を掲げている。2014年末時点で、世界中の自社工場で使用する電力の約30%を再エネ電力でまかなっている。

 

 ユニリーバ・ジャパンが昨年11月に国内事業所で100%再エネ化を実現したのは、ユニリーバの世界中の主要拠点でも初の快挙となった。ユニリーバは2030年には、カーボンニュートラルを超えて、同社グループが使用する電力よりも、調達する再エネ電力や省エネによる削減効果のほうが多い「カーボン・ポジティブ」の実現を目指している。

 

https://www.unilever.co.jp/news/press-releases/2015/renewable-energy.html