HOME4.市場・運用 |福島県内の1700か所の自動車整備工場 洗車汚泥に高濃度セシウム放射性物が蓄積。基準値の最大7倍(各紙) |

福島県内の1700か所の自動車整備工場 洗車汚泥に高濃度セシウム放射性物が蓄積。基準値の最大7倍(各紙)

2016-11-06 09:00:59

fukushimaodeiキャプチャ

 

 各紙の報道によると、福島県内の自動車整備工場にある洗車用の汚水浄化槽にたまった汚泥から、国の指定廃棄物基準(1kg当たり8000ベクレル)を大幅に上回る最大5万7400ベクレルのセシウム137などの放射性物質を検出したことがわかった。福島県内に自動車整備工場は約1700カ所あり、「洗車汚泥」は数千㌧にのぼるとみられる。

 

 日本自動車販売協会連合会など3業界団体の調査で判明した。これまで環境省や東京電力は対策を先送りしてきたという。判明した汚染のレベルは国の基準を最大で7倍も上回る。

 

 2011年3月11日の東電福島第一原発事故の際に、放射性物質に被災した車を各整備工場で洗車・整備したことから、車の放射性物質が洗い流され、汚泥となって汚染浄化槽に蓄積したとみられる。

 

 業界団体は福島県内全域をカバーする民間初となる独自の中間処理場新設計画案をまとめ、環境省などと協議を急いでいる。業界によると、汚泥があふれないよう手作業でくみ上げる工場が続出しているという。作業員が健康被害を引き起こす恐れも指摘されている。

 

 1700カ所はいずれも国の認証工場。厳しい排水規制を受けており、洗車で生じた汚水を垂れ流さないよう1㌧前後の容量がある浄化槽「油水分離槽」を工場の床下などに設置している。ここに洗車後の汚水をためて有害物質を沈殿させ、残りを排水している。

 

 第三者機関によるサンプル検査結果(2014年11月)によると、対象となった浄化槽36基の汚泥から、4万3200ベクレルの放射性セシウム137(半減期30年)を含む最大5万7400ベクレルを検出した。国の指定基準を超えたのは19基で半数超を占めた。

 

 サンプル検査後、満杯の浄化槽から汚水が逆流し、工場が浸水する事例も発生した。そこでさらに調査したところ、300工場余りで浄化槽が満杯状態か満杯になる恐れになっていることが判明した。うち約200工場では作業員がひしゃくを使って放射能汚染した汚泥を汲み上げて、別の保管容器に移す作業をしていたという。従業員の健康問題も懸念される。