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小泉純一郎元首相 次期衆院選挙「原発ゼロ争点で与党は負ける」。民進党には「電力労組離れ」を求める(各紙)

2016-11-06 12:27:25

koizumi2キャプチャ

 

 小泉純一郎元首相は4日、新潟市で講演、共産、社民、自由の3野党推薦の米山隆一新潟県知事が当選したことを踏まえ、「野党が一本化し、原発ゼロを争点にしたら与党は負けると分かった。この(原発ゼロ)影響はあまり表面に出てきていないが大きい」と述べた。原発の可否が次期衆院選挙の勝敗を左右する可能性があるとの見方を示した。

 

 以下は、小泉元首相の主な発言内容。

 

 まさか米山(隆一)さんが知事選に当選するとは思わなかった。選挙が始まる直前まで、「自民党と公明党と連合が応援する候補者でないと勝てない」という見方が中央政界で圧倒的だった。しかし、鹿児島県では現職を新人の三反園(訓)さんが破り、保守系が強い新潟でもパッと出た米山さんが勝った。

 

 米山さんへの批判と同じように、(私も)首相を辞めたとたんに「原発ゼロは無責任」と言われた。だが、福島第一原発事故の現実を見て変わった。米山さんは、この決意をしっかりと胸に秘め、新潟から原発政策を変えるんだ、原発ゼロにするんだという主張を強めてほしい。(次期衆院選への)影響は大きく、野党が候補を一本化し、原発ゼロを争点にしたら、与党は負けますよ。

 

 (高レベル放射性廃棄物の最終処分場の建設が進む)フィンランドの「オンカロ」を視察した。岩盤でできた島の地下約400mに埋設するところで、2㎢の広場を作って廃棄物を埋め、10万年近く人の体に触れずに保管しなければならない。しかし原発2基分の核のゴミしか埋める容量はない。他の国で受け入れるのは不可能。

 

 福島の事故による放射能の飛散で、厚木基地と横須賀基地の米軍の家族が避難し、東京駐在の外国の大使館職員も本国に帰った。当時、私は横須賀市にいたが、そんな情報は全然なかった。

 

 「多少のリスクがあっても利益を優先しないと科学技術は進歩しない」という声が一部にあるが、原発事故は飛行機や車の事故とは訳が違う。何千年にわたってこれから核のごみを管理していかないといけない。原発は絶対に事故を起こしてはいけない産業だというのが分かってきた。

 

 事故前に稼働していた原発は54基だった。今はたった2基しか稼働していないのに、全国で電力が足りずに停電になったところは一つもない。太陽光はコストが下がり、原発はコストがかかる。にもかかわらず原発は必要なのか。

 

 原発の会社はどれ一つも核のごみ処分場を見つけられないのに、なぜ政府は原発の会社を認めるのか。政府はこんな当たり前のことがどうして分からないのか不思議でしようがない。政府は「日本の原発に対する安全基準は世界一厳しい」と言っているが、米国と比べれば日本の基準は甘いとすぐ分かる。

 

  原発で処分しなければならないさまざまな物質は、まだ生まれていない子供たちも負担しなければならなくなる。今は自然エネルギーに変えようと、実現に向けて日本は着実に動いている。原発に依存していた国から、自然環境と共存した生活にしていく時期だととらえ、原発ゼロにしていかないといけない。

 

 米山知事は、新潟がこれから日本のエネルギー政策を変えるのだという意欲を持っている。篠田(昭・新潟)市長ともども結束してがんばってほしい。

 

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 講演後、記者団に対して「野党がこれ(原発ゼロへの国民の支持)に気づけば、自民党も安閑とはできない。野党が変わると自民党も変わらざるを得なくなる」と述べた。

 

 民進党については、支持母体の連合に配慮して原発政策を明確に主張していない点を指摘。「電力関係、原発推進の労組票は50万もない。500万、5000万の票をどうして獲得しようと思わないのか」と問いかけた。

 

 民進党が掲げる「2030年代原発ゼロ」の公約についても、「公約は分かりやすく短く言わなければダメ。30年代ゼロにする? 今認める? わかりにくい。今ゼロを宣言した方が国民も企業も、準備しやすい」と指摘した。

(写真は、右から米山隆一・新潟県知事、小泉純一郎元首相、篠田昭・新潟市長)