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ベトナム 原発建設を延期へ。財政難で、同国共産党が再検討を指示。日本が官民一体で売り込んだ原発の建設計画、宙に浮く(各紙)

2016-11-07 11:21:57

Vietnumキャプチャ

 

 各紙の報道によると、ベトナムは日本やロシアの支援で計画していた同国初の原発建設について、全面的に見直し、延期する方向であることがわかった。ベトナム共産党が10月、政府の財政状況から「現時点で多額の投資は非常に困難」として延期含みで見直すよう政府に指示した。日本は官民一体で売り込み、2基の原発受注が決まっていたが、不透明な情勢となった。

 

 ベトナム政府はすでに計画の包括的な見直しを進めており、報告書を国会に提出する方針。同国政府はグエン・タン・ズン前首相の政権下だった今年3月に打ち出した電力開発計画改訂版で、2028年から同国として発の原発を稼動させる方針を示していた。

 

 ベトナムは当初、2009年に、中部ニントゥアン省に原発4基を建設し、2020年に稼動させる計画を承認していた。それが日本の東京電力福島第一原発事故の影響で津波対策などが不十分ということがわかり、延期されてきた。また建設予定地では住民の立ち退き移転問題も起きている。

 

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 今年3月の改訂計画では、、日本が受注したニントゥアン第2原発が2029年に、ロシア受注のニントゥアン第1原発が28年に、それぞれ運転開始の予定となっていた。

 

  しかし今年1月の党大会で選出された新しい党指導部の一部は、多額の債務を抱える中での原発建設や原発の安全性に懸念を表明。10月に開いた党第12期中央委員会第4回総会は、延期の方向で計画を再検討する方針で一致していた。同国に対する日本からの円借款だけですでに約2兆3000億円(2014年データ)に達している。

 

 計画見直しによる延期が、白紙撤回となるかどうかについては不明。同国では経済成長が続いているため今後も電力需要が増大することや、石炭火力発電については温暖化への影響や周辺住民への健康影響などの懸念が広がっており、原発導入を支持する声も根強いという。商工省の当局者は原発建設自体を中止する可能性については否定している。