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COP22 今日、マラケシュで開幕 日本、「屈辱」の『パリ協定未批准国』として参加。他国からはほとんど話題にもされず(RIEF)

2016-11-07 18:21:50

COP221キャプチャ

 

 国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)が7日、モロッコ・マラケシュで開幕する。同会議では、4日に発効したパリ協定の詳細なルール作りが最大の焦点になる。日本は協定発効の見通しを読み誤り、協定に未批准国としての参加になる。

 

 4日の協定発効時点で、批准国は、協定署名197カ国中、ちょうど100カ国。今月に入って、駆け込み批准にこぎつけたのが韓国、サウジアラビア、南アフリカなど10か国。これらの国々は、協定発効の帰趨を見据えて、土壇場で滑り込んだことになる。

 

 しかし日本は、協定批准を軽視した首相官邸の判断のお粗末さから、そうした「滑り込み組」にも加われなかった。危機管理の掛け声は勇ましいが、国際的な外交情勢の判断力と、実行力を全く欠いていることを示したといえる。

 

  「COP22よりもCMA1だ」。参加国などからこうした声が上がる。今回のCOP会議で最大の課題は、15日から開く、パリ協定の批准国で構成する第1回締結国会議(CMA1)にある。CMA1は、先進国、途上国がともに温室効果ガス削減目標を約束したパリ協定に実効性を持たせるための、より詳細なルール化を目指す初めての会議だ。

 

 国際協定締結の成否が問われてきたこれまでの一連のCOP会議とは違い、CMA1では、協定発効を踏まえて、その実効性をどう担保するかが論点となる。途上国の削減目標を確実にするための資金支援の在り方や、各国が5年ごとに国連に提出する削減目標の評価、検証の仕組みなども課題だ。

 

 さらに、協定で各国が約束した削減目標を達成したとしても、協定が目指す産業革命前からの世界の気温上昇を2℃未満に抑える目標の達成は不可能とされている。それだけに、「さらなる行動」をどうするのか、といった交渉もCMA1での論点だ。

 

 日本は7日時点でまだ協定を批准できていない。参院ではすでに可決しているため、与党は8日の衆院本会議でパリ協定の承認案の可決、成立を目指すとしているが、TPP法案との関係で依然、不透明。ただ、8日に批准できたとしても、効力を持つのは国連に提出してから30日後。今回のCOP会議中には間に合わず、「未批准国」のまま、18日までの会期末まで、マラケシュで過ごすことになる。

 

 焦点となるCMA1には、日本は議決権を持たないオブザーバー参加となる。今回の会議ですべてが一気に解決するわけではないので、日本政府関係者は、オブザーバーでも実質的な利害得失はないと主張している。しかし、そうではない。

 

 CMA1の議論の最初から、協定の正式な批准国として「最前列」での議論ができるかどうかが今後の交渉の主導権に影響するのだ。ただ、悲しいかな、日本が批准に間に合わなかったことは、COP22関係者の間では、ほとんど話題にもなっていない。

 

 京都議定書の第二約束期間に参加しなかった段階で、地球温暖化問題での日本のリーダーシップは、すでに失われているのである。今後は、せめて温暖化対策を真剣に推進する他の国の邪魔はしないようにしてもらいたい。     (藤井良広)

 

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