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東京都キャップ&トレード制度、5年間で約1400万tのCO2削減。130万世帯の5年分の排出量に相当。全対象事業所が排出削減義務達成(RIEF)

2016-11-08 12:04:19

tokyoc&Tキャプチャ

 

 東京都は、大規模事業所にCO2排出量の削減を義務付けた都独自の排出権取引制度(キャップ&トレード)の第一計画期間(2010年度~2014年度)で、すべての対象事業所が総量削減義務を達成したと発表した。取引されたカーボン・クレジットの査定価格CO2換算で1トン当たり1,000~2,000円だったと推定されている。

 

 東京都は、都内の温室効果ガス排出量を削減するため、環境確保条例に基づき2010年度に、大規模事業所を対象とした温室効果ガスの排出総量削減の設定と、その削減排出量を規制対象企業間で調整するための排出権取引制度をスタートさせた。

 

 2010~14年度の第一計画期間の削減義務率は、オフィスビル等が8%、工場等が6%とした。2014年度実績によると、対象事業所の総床面積が前年度比1%増、基準年度比4%増と増える中で、基準年度比25%削減を達成し、5年間で約1400万トンのCO2の削減を実現した。

 

 第一計画期間の5年間のCO2の削減量は、約130万世帯(都内世帯総数の2割相当)の5年分のCO2排出量に匹敵する。総量削減義務を果たすため、過不足の排出量を取引した事業所数は124。クレジットの取引状況では、同一法人・グループ企業内の無償取引が最も多く過半数の55%だった。仲介業者を介した「市場取引」は31%、相対の直接取引は14%。

 

 tokyoC&T2キャプチャ

 

 義務履行に活用されたクレジットの査定価格(10月時点)は1000~2000円/t-CO2だった。すでに第二計画期間(2015年度~2019年度)が始まっており、削減義務率はオフィスビル等が17%、工場等が15%へと強化される。義務履行期限は2021年9月末日。

 

 ただ、対象事業所の7割以上が2014年度に第二計画期間の削減義務率以上の削減を達成しており、第二計画期間においても、多くの事業所がクレジットに頼らなくても、自らの削減対策で削減義務を達成するという見通しという。第二計画期間の削減義務率は第一計画期間より倍以上の削減率だが、LED照明等のエネルギー効率化の進展等で達成見通しが高まっている。

 

 事業所等の温室効果ガス削減努力の進展は、排出権取引の6割以上が同一法人・グループ企業内の無償取引だった点にも反映している。その分、排出権取引自体は活発でなかったといえる。クレジットの査定価格(10月時点)の1,000~2,000円/t-CO2という水準は、環境省が2005年から2013年にかけて実施した自主参加型国内排出量取引制度(JVETS)の平均価格830円/t-CO2より上回った。

http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/climate/large_scale/index.html