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トヨタ、東南アジアで廃車リサイクルビジネスに参入。まず、タイ・ベトナムに解体工場。中国北京に次ぐ。循環型社会・システム構築に貢献(各紙)

2016-11-16 15:14:26

toyotaキャプチャ

 

  各紙の報道によると、トヨタ自動車は東南アジアで自動車の車両解体事業に参入する。2018年度までにタイとベトナムに車両解体工場を設置、同グループが持つ解体ノウハウを使って使用済み自動車から適切に資源回収できる仕組みを広げる。

 

 トヨタは2015年秋に発表した環境経営ビジョン「トヨタ環境チャレンジ2050」で、「循環型社会・システム構築」を5つの柱の一つに据えた。これを受けて、「グローバル100解体業者プロジェクト」を開始、第一弾としてビジョンに先駆ける形で14年から中国北京市でグループの豊田通商が現地解体業者などと合弁事業を立ち上げている。同事業では15年度に約2万台をの解体処理をした。

 

 東南アジアへの進出は、中国での手応えを受けて、展開する第2弾となる。現地の解体事業者は、トヨタが認定する自動車解体施設を設ける。使用済み自動車から再生資源を、環境に負荷をかけずに安全に回収・処理する仕組み作りをトヨタグループで推進する。

 

 現地での認定工場に対しては、使用済み車両のワイヤハーネスから高純度の銅を取り出したり、モーターを解体してレアアース(希土類)のジスプロシウムなどを取り出したりする技術をトヨタが供与している。効率的な解体技術を有する人材の育成も支援する。廃車から取り出した資源は当面、一般ルートで販売する見通し。回収量が増えれば、新車への活用も検討するという。

 

 同プロジェクトの第1弾として設立された北京市の「豊通北京」の解体工場では15年度は約2万台の解体処理をした。タイでは豊田通商が現地に持つ2カ所のスクラップ処理施設のいずれかを、車両解体工場として転用する方向で検討している。豊田メタル(愛知県半田市)が持つ解体ノウハウを活用する。処理能力は年間数百台程度と、中国より小規模で始め、ビジネスモデルを確立後、別の国に展開する際のモデル工場として位置付ける。

 

 ベトナムでは18年初めに自動車リサイクルに関連する法律が施行される予定。これに合わせて解体施設を設置する。タイとベトナム以外の地域にも、トヨタ車の保有状況や関連制度の整備状況などを総合的に勘案して解体事業の進出を検討する。

 

 日本をはじめ先進国では使用済み自動車の解体・リサイクルの制度や技術体系が整っているが、新興国では明確なルールが整備されていないケースが多いという。今後は保有台数の拡大や環境対策の必要性の増大から解体やリサイクルのニーズが高まるとみられる。

 

写真は、中国の豊通北京の解体工場の廃油回収施設)