HOME4.市場・運用 |米企業300社以上が、トランプ次期大統領に「公開書簡」送付。パリ協定への参加堅持、低炭素政策の継続、内外の低炭素市場への投資拡大、を要請。スターバックス、ケロッグ、イケアなどが署名(RIEF) |

米企業300社以上が、トランプ次期大統領に「公開書簡」送付。パリ協定への参加堅持、低炭素政策の継続、内外の低炭素市場への投資拡大、を要請。スターバックス、ケロッグ、イケアなどが署名(RIEF)

2016-11-17 16:08:28

USAキャプチャ

 

   300以上の米企業が、トランプ次期大統領に、米国がグリーン経済をサポートするよう求める公開書簡を出した。トランプ氏は地球温暖化問題に対して懐疑的な言動をし、パリ協定からの離脱にも言及してきたことを懸念、「気候変動は米国の繁栄にとってのリスク」と強調している。

 

 公開書簡は、モロッコのマラケシュで開いている国連気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)を念頭に置いた形で、「大統領に選出された親愛なるトランプ氏、オバマ大統領、米議会議員、そしてマラケシュのCOP22に集うグローバルリーダーたちへ」と呼びかけている。

 

 書簡に署名した企業には、スターバックス、ケロッグ、リーバイス、ユニリーバ―、デュポン、ヒューレット・パッカード、ナイキ、ギャップなどの主要企業をはじめ、資産運用、再生可能エネルギー、スポーツ関連企業などが名を連ねている。

 

 まず、今月初めに発効したパリ協定の重要性を強調。「米企業として、歴史的なパリ協定を実行することによって、気候変動問題を解決することに、われわれ自身が深くかかわっている」と自らの責任を再認識している。

 

 そのうえで、「米経済はエネルギー効率で優れ、低炭素エネルギーによってパワーアップされねばならない。費用効果的で革新的な解決手段の開発によって、これらの目的は達成されるだろう。逆に、低炭素経済の建設に失敗すると、米国の繁栄はリスクにさらされる」と警告している。

 

 そして、適切な官民の行動が雇用を創り出し、米国の競争力を高める、と強調している。米企業らは、パリ協定の目標を実現するために、自らが企業として低炭素化を進める役割を果たすと宣言したうえで、トランプ氏に対して3つの要請を求めている。

 

 一つ目は、これまでの低炭素政策の継続だ。政策の継続により、米国は協定で約束した対策を果たす、あるいはそれ以上の行動をとるべき、と求めている。

 

 二つ目は、金融機関が温暖化対策へのファイナンスを明確にできるよう、あるいは世界中の投資家がそうした投資への信頼度を増せるように、内外市場において低炭素経済への投資を増やすこと。

 

 三つ目は、米国として、パリ協定への参加を継続すること。そのことが、世界の気温上昇を2℃未満に抑えるための長期的な方向感を示し続けることになる、としている。

 

 特に、トランプ次期大統領の選出によって、発効したばかりのパリ協定の命運が左右される可能性が浮上しているだけに、協定継続の重要性を強く主張している。

 

 企業にとって、政策が低炭素化から、化石燃料再評価に転換すること自体、先行き不透明感を高める「政策リスク」となる。また科学的な観測データなどにより、地球温暖化の加速が年々、明瞭化しており、気候変動の激化による企業活動の停滞、被害増などの物理的リスクも上昇している。

 

 こうしたことから、温暖化問題を政治的対立軸でとらえるのではなく、経済リスクとして評価し、むしろそのリスク対応に勝ち抜くことが、米国の競争力向上につながる指摘している。

http://lowcarbonusa.org/