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東京都など首都圏の9都県市。再エネ発電の送電網接続問題等での政策改善を国に共同要請。「系統設備の整備・増強」など4項目。国の自由化政策の不備を指摘(RIEF)

2016-11-27 23:37:23

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  東京都や神奈川県などで構成する首都圏の九都県市は24日、電力の小口全面自由化が実施されたにもかかわらず、再生可能エネルギー発電の送電網への接続がいまだに円滑でないとして、政府に共同で要望書を提出した。首都圏自治体が連名で、国の政策の「不備」を指摘、改善を求めるのは異例。

 

 

 共同要望書は東京都が代表する形で、経済産業省、環境省、内閣官房に対して提出した。要望書は「再生可能エネルギーのさらなる普及拡大について」と題している。

 

 それによると、再生可能エネルギー事業普及のため、2012年に制度化された固定価格買い取り制度(FIT法)を評価。「全国的な再エネの普及により、CO2排出抑制、エネルギー自給率向上や化石燃料の節約のほか、地域経済活性化や雇用創出効果など国内経済への波及効果を生んでいる」とした。

 

 その一方で、再エネで発電した電力の送電網への接続が、既存電力会社側の連系可能容量の制約などを理由に、「接続申込への回答を保留されたり、連系工事費用の内訳が示されないまま多額の負担が求められる」と懸念を表明している。

 

 接続問題での国の対応については、電力広域的運営推進機関の設立などを一応評価しながらも、系統への接続制約などがネックとなり、高まりを見せていた再エネ普及拡大の機運が一気に勢いを失うことになりかねない、と危惧を示した。

 


 特に首都圏は、エネルギーの大消費地であり、全国的な再エネ普及拡大に影響することから、政府に対して政策の再検討を求める、として4点の要望を列記した。

 

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 要望内容は次の通り。

 

①再エネを最大限導入するため、系統設備の整備・増強を促進すること。

 

②風力など大規模発電設備の設置ポテンシャルが高い東北地方等の電力の広域融通を可能とするため、東北東京間連系線など、地域間連系線の活用による系統の一体運用など、送電系統の運用方法の改善を着実に実現すること。

 

③水力や蓄電池など調整電源の一層の活用、太陽光や風力など自然変動電源の変動特性の把握や気象情報を用いた発電出力予測の活用などの系統運用技術により、接続可能量の拡大を図ること。

 

④風力や地熱発電所設置に係るコスト負担を軽減し、事業の予見可能性を高めるため、環境アセスメントに係る手続の迅速化を図ること。

 

 いずれも、FIT制度の導入や小口電力自由化などの政策実施と同時に、国が市場環境の整備として実施しておくべき性格のものばかり。国の政策のちぐはぐさを指摘した形となった。特に首都圏市場を握る東京電力の対応の遅れ(意図的?)が目立っている。

 

 今月半ばには、東電の電力小売り子会社が卸売電力市場での価格を高値操作し、ライバルとなる新電力の仕入れコスト引き上げを図る活動をしていたとして、電力・ガス取引監視等委員会から業務改善の勧告を受けている。http://rief-jp.org/ct4/65872?ctid=72

 

 FITの認可を受けた後、既存電力会社から高額の接続料の請求を受けるケースは、各地で発生している。一部では訴訟沙汰になっているという。

 

 共同要望に加わった九都県市は、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市。10月26日に開いた第70回九都県市首脳会議で合意していた。

 

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2016/11/22/06_01.html