HOME13 原発 |ドイツ憲法裁判所、ドイツ政府の脱原発方針で、電力会社の原発閉鎖による損害賠償請求を認める。財産権の侵害。(各紙) |

ドイツ憲法裁判所、ドイツ政府の脱原発方針で、電力会社の原発閉鎖による損害賠償請求を認める。財産権の侵害。(各紙)

2016-12-07 10:56:43

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  各紙の報道によると、ドイツの最高裁にあたる連邦憲法裁判所は6日、ドイツ政府の脱原発政策で原発閉鎖を余儀なくされる大手電力会社3社が、財産権の侵害として損害賠償を求めていた訴訟で、電力会社の訴えを認める判決を示した。賠償額は未定。

 

 現地のDPA通信によると、訴えていたのは、独エーオンと独RWE、バッテンホール(スウェーデン)の電力3社。各社は、ドイツ政府の脱原発政策によって稼働中の原発を途中で停止させられたことで、最大で190億ユーロ(約2兆3000億円)の損害を被ったとして、請求していた。

 

 憲法裁は電力会社側の言い分を認めたうえで、政府に2018年6月末までに関連法を整備するよう命じた。具体的な賠償額は、今後、政府と電力会社の間の交渉で決まるか、あるいは新たな裁判で決まることになる。訴訟では脱原発方針自体は争点になっていない。

 

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 メルケル政権は2011年の福島第一原子力発電所の事故の後、当時、ドイツ国内に17基あった原発を2020年までに全廃する方針を決め、直後に旧式の8基の稼働を停止した。残りの9基は段階的に廃止される。電力会社は稼働中に停止された8基の原発について、当初の予定通り運用することによって得られたはずの利益を失ったとして、財産権を定めた基本法(憲法)に反するとして、政府を訴えていた。

 

 電力3社は、原発稼動停止後、関連の廃炉費用の引き当て増などで業績が悪化し、今も株価の低迷が続いている。このためエーオンは訴訟の理由に少数株主の保護も挙げていた。エーオンは6日、判決を受けて「政府と建設的な話し合いに入る」との歓迎の声明を出した。3社の株価は上昇した。

 

 一方、ドイツ国内では過去に電力会社が原発事業で収益を上げており、政府が損害賠償をすることには反対する意見もある。

 

http://www.eon.com/en/media/news/press-releases/2016/12/6/eon-welcomes-ruling-by-federal-constitutional-court-on-the-13th-amendment-of-the-atomic-energy-act.html