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昭和シェル石油 大気中のCO2を直接、太陽光エネルギーでエチレン等に変換する人工光合成技術開発。植物の光合成能力とほぼ同レベル(RIEF)

2016-12-07 11:29:42

shouwasherキャプチャ

 

 昭和シェル石油は、水と二酸化炭素(CO2)から太陽光エネルギーだけで、炭化水素のメタンとエチレンの合成に成功した、と発表した。CO2を減らすと同時に、エチレンなどの有用物質を生成するのは、人工光合成技術の進展につながる。炭化水素への太陽光エネルギー変換効率は0.71%で、自然界の植物の光合成と同レベルという。

 

  同社は、燃料電池等で使用する「ガス拡散電極」を使って、気体中のCO2を常温常圧下で直接反応させることに成功したという。従来の人工光合成技術では、CO2をいったん水に溶かした状態で変換する方法をとっていた。この場合、原料となるCO2が少量しか水に溶けないことから、変換が難しいという課題があった。

 

 同社では、CO2が反応する電極には、触媒を使って独自に開発したガス拡散電極を使い、「光陽極」側には、半導体光触媒とソーラーフロンティア社製のCIS薄膜太陽電池との積層構造を利用した電極を使った。これらを常温常圧下で、擬似太陽光を照射したところ、メタンを太陽光エネルギー変換効率0.61%、エチレンは同0.1%で合成に成功した。合計の炭化水素の太陽光エネルギー変換効率は0.71%となった。

 

 実際の植物が光合成で、水と空気中のCO2から、デンプンなどの炭水化物を生成する変換効率は、一般に0.1~2.5%程度とされる。このため、同社は「自然界の植物の光合成と同レベル」と評価している。同社では、太陽光のエネルギーのみで炭化水素などの有用な物質を生成できたのは、「世界初」と説明している。

 

 また今後、今回利用した気体のCO2を利用できるガス拡散電極を用いた人工光合成の研究をさらに進め、2030年までにCO2から高効率で炭化水素やアルコールなどの有用物質を製造する技術を確立する方針だ。

 

http://www.showa-shell.co.jp/press_release/pr2016/1205.html