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超党派の国会議員の会「原発ゼロの会」 東電福島事故の賠償費用を新電力に負担させる経産省の案を厳しく批判。「東電を破綻処理し責任明確が先」、「経産省は『二枚舌』行政をやめるべきだ」(各紙) 

2016-12-08 10:25:45

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 各紙の報道によると、超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」は7日、東京電力福島第一原発事故の賠償費用などを、自由化で参入した新電力にも負担させる経済産業省案に反対する声明を発表した。「国民的議論や国会の関与が一切ないまま、国民負担の増大案がまとめられるのは言語道断」と厳しく指摘した。

 

 同会共同代表の河野太郎前行政改革担当相は、東京都内での記者会見で、「都合が良い時は原子力のコストは安いと言い、都合が悪いと託送料金で回収するという『二枚舌』はやめるべきだ」と、経済産業省の恣意的な行動を厳しく指摘した。

 

 声明は「賠償・廃炉費用の規模感が示されないまま、費用負担の仕組みの論議が先行するのは本末転倒」と指摘、国民にツケだけ回す前に、東電を破綻処理して責任を明確にするよう求めている。

 

 福島原発の賠償問題を担当している経産省は、「過去に原発でつくった電力の価格は、賠償のための積み立て費用を含まなかったため安かった」として、「過去分」の費用を電気料金に上乗せする案を打ち出している。

 

 しかし、電力料金の価格を決めていたのは、以前から大手電力会社と経産省の両者。同会は談話で、両者の「甘かった判断の問題だ」と指摘。消費者に負担を求める前に、東電を破綻処理して経営陣と株主の責任を明確にし、資産を売却するなどして資金を捻出するべきだと主張した。

 

 また、予定より早く廃炉を決めた原発の廃炉費用の一部も電気料金に上乗せする方針に対しても、「政府は『原発は安い』と主張しているのだから、追加負担を求めなくても対応できるはずだ」と述べた。

 

 経産省は、この問題を有識者会議を設置して審議しているが、会議には議論に必要な廃炉・賠償費用の見積もりを明らかにしないまま、会議を設置しており、電気料金への上乗せなどの国民負担の手法だけを先に設定しているとの批判もある。

 

 会見で河野太郎共同代表(自民党)は「議論の前提となる数字が出てこないことに、自民党からも経産省に対して強い不信感が出ている」と批判した。

 

 原発ゼロの会には、与野党の議員78人が参加。河野氏ら自民党の議員も4人が加わっている。