HOME |「高利のCO2排出権取引」と称して、高齢者をターゲットに騙す訪問販売商法が横行。東京都が業者に対して、3ヶ月の業務の一部停止を命令(RIEF) |

「高利のCO2排出権取引」と称して、高齢者をターゲットに騙す訪問販売商法が横行。東京都が業者に対して、3ヶ月の業務の一部停止を命令(RIEF)

2016-12-08 15:42:48

houmonキャプチャ

 

 東京都は6日、高齢者をターゲットに、「高利回り」と称してCO2排出権取引を勧誘する事例が増加していることから、コンサルティング会社のライブ・トレード(東京都新宿区)と関連会社の計5社に対して、特定商取引に関する法律に違反するとして、3カ月の業務の一部停止を命じた。

 

 ライブ・トレードの関連5社は、高齢者宅を訪問し、「11%の利息がつく」などと偽り、高リスク取引であることの説明をせず、「やっていれば11%の利息が付きます」「投資に羽利益がつくが損をすることがない」などとウソを言って、勧誘してきたという。

 

 契約した消費者には、3~4ヵ月後に、投資額の10~20%に相当する額を利息として、現金で届けて信用させる。その語に、さらに高額の増資を求めるという。消費者が契約解除を申し出ると、預けた保証金を大きく下回る金額しか示さない。

 

 東京都は、こうした行為は特定商取引に関する法律に違反する行為だとして、業務の一部停止命令を出した。停止内容は、契約締結の勧誘、申し込みの受付、契約締結等を3ヶ月間禁じるというもの。

 

 取引対象はCO2排出権そのものではなく、欧州市場等で取引されている価格を参照して決定した価格で売買し、その損益の差額によって決済する仕組み。契約した消費者と事業者による当事者間の相対取引となっている。

 

 ライブ・トレードは、本取引の運営業務を行い、順次設立した「ライブトレードウェルス」「ライブ・トレードエンター」「ライブ・トレードオクト」の3社に社員を出向させて、本取引と「ライブ・トレードアセットマネジメント」が提供する投資一任サービスの勧誘を行っていた。

 

 契約件数は、差金決済取引が207件、投資一任サービスが205件。契約させられた消費者の平均年齢は77歳で、最高齢は89歳と高齢者を対象としていた。平均契約額は約362万円だが、中には2000万円の契約に入らされていた人もいた。都内では、この5社に関する相談が、2013年度から2017年度(12月5日時点)までに42件寄せられていた。

 

 CO2排出権取引は東京都も実施しているが、取引自体は活発ではない。また国でも環境省が検討したことがあるが、経済界の反対で実現しないままになっている。一方、欧州ではEU-ETSとして2005年から取引があるほか、韓国、中国、ニュージーランドなどでも取引されている。CO2排出権の名前は聞いたことがあるが、国内で分かり易い取引がないことが、消費者がだまされる一つの背景になっているとの見方も出来る。

 

 東京都は、CO2排出権の価格や為替変動などの予測不可能な要因が大きく影響するハイリスクで複雑な取引だとし、「高金利で儲かる」「プロが運用する」などと良いことばかりを告げて勧誘されても、取引の仕組みが理解できなければ契約しないよう、注意を促している。

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2016/12/06/06.html