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東電福島事故の放射性物質。事故から5年半を過ぎ、北米沿岸の海洋、湖、サーモンから初めて低濃度セシウム検出立証(RIEF)

2016-12-12 12:47:28

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 東京電力福島第一原発事故で、太平洋に大量流出した放射性物質が、事故から5年以上を経た今、北米大陸西岸で海洋から検出されたほか、カナダ内陸部の湖のサケからも初めて検出された。検出量は微量だが、放射能汚染が長期、広範囲に影響していることを改めて示した。

 

 福島事故に起因する放射性物質の海洋汚染を調べている、米ウッズホール海洋研究所研究員のKen Buesseler氏が、セシウム134、同137を100以上のサンプルから検出した。

 

 またビクトリア大学の化学海洋分析学者のJay Cullen氏による研究チームは、カナダの河川を遡上するサケからセシウム134を初めて検出したと報告した。同チームもウッズホール研究所と協力している。

 

 どちらの研究結果も、ともに検出したセシウム濃度は、人の健康や生態系に影響のない低濃度のレベル。しかし、汚染の原因は5年半以上前の福島事故による太平洋放射性物質汚染とみられる、としている。

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  福島事故由来のセシウムを海洋から検出したBuesseler氏は、2014年1月に、研究所とは別に市民支援によるクラウドファンディングと、国立科学基金の資金を元に調査を開始した。

 

 同氏は、14年10月に、カナダのブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバーの西部745マイルの海洋から、セシウム134を検出した。さらにセシウム137も検出した。太平洋では1950、60年代に核実験が行われているが、検出された核種は、それとは異なり、また樹木からの検出で、福島事故の流出物と判断された。

 

 さらに14年11月には、10件のサンプルを検出した。この中には、カリフォルニア州のユーレカ沖100マイルの海洋からのサンプルも含まれている。2015年4月には、バンクーバー島の埠頭からも、福島事故の放射性物質を検出した。海洋だけでなく、沿岸部からの検出はこれが初めてだった。

 

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 今年は、110のサンプルを追加、検出したセシウムの検体数は合計135件に達した。このうち、もっとも高いセシウム濃度は、サンフランシスコの1600マイル沖で検出したサンプルで、1㎥当たり11ベクレル。他の西海岸で検出したサンプルより50%以上の高かったが、それでも米政府の飲料水の安全基準に比べると、500分の1と低かった。

 

 一方、先月には、カナダのサケからセシウムが検出された報告が公開された。Cullen氏らのチームは、2015年夏にオカナガン湖で採取したベニザケ一体から、低濃度のセシウム134を検出した。セシウムのレベルは、カナダの国内基準より1000分の1以下の低い値で、このサケを食べても、消費者に重要なリスクは生じないという。

 

 しかし、セシウム134は半減期2年強と短いだけに、サケの体から検出されたのは、他の要因ではなく、福島原発からの流出汚染物質が影響したとみられている。また、Buesseler氏、Cullen氏の両研究とも、サンプル検体を検出した多くの地域では、放射性物質汚染の蓄積の傾向がみられていると指摘している。

 

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 福島事故のセシウムが太平洋を超えて米大陸に及んでいる事実が突き止められたことについて、Buesseler氏は二つの意味がある、と指摘している。

 

 「まず、検出濃度は政府による人体、海洋の安全基準より十分に低いが、放射能汚染が 太平洋全体に汚染が広がったことを意味している。福島の汚染レベルをもっと詳細にモニターする必要がある」

 

 「第二に、これらの長期の放射性同位体は、科学者にとって海洋の潮流や、沿岸部と海洋水の混ざり合い等を研究する際の指標として活用できる」

 

 

 

http://www.statesmanjournal.com/story/tech/science/environment/2016/12/07/fukushima-radiation-has-reached-us-shores/95045692/

http://fisherynation.com/archives/tag/fukushima-inform-project