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カナダのトリュドー首相 全国規模のカーボン価格付け策導入を公表。カーボン税か排出権取引で。2018年のカーボン価格はトン当たり10カナダ㌦(7.6米㌦)目指す。トランプ次期米政権と一線を画する(RIEF)

2016-12-12 12:52:01

canada1キャプチャ

 

 カナダ政府は、パリ協定に基づいて国内の温暖化対策を促進するため、全国規模のカーボン価格付け政策の導入を決めた。トリュドー首相が公表したもので、カーボン税あるいは排出権取引によって、国内のカーボン価格を2018年にトン当たり10カナダ㌦(7.60米㌦)前後とする。カナダのカーボン価格制度導入は、隣国の米国でのトランプ次期大統領の温暖化政策にも影響を及ぼす可能性がある。

 

 カナダはパリ協定を踏まえて、11月には国内での石炭火力発電所を2030年までに停止する方針を打ち出している。これは米国のオバマ政権が進めてきたクリーンパワープラン(CPP)と歩調を合わせる形だが、トランプ次期政権はCPPの撤回を含め、環境保護庁(EPA)の温暖化政策を抜本的に変更する方向だ。

 

 しかしトリュドー政権は、あくまでもカナダ版CPPを踏まえて、次のステップであるカーボン価格付け政策の導入を打ち出した。カーボン排出量の多いカナダ産のオイルサンドや石油等の米国への輸出にも影響を及ぼすとみられる。

 

 このため、同政権の方針に対して、カナダ10州のうち、2州はまだ同意していない。特に、エネルギー資源の多い中西部のサスカチュワン州は「(カーボンの)コストが大き過ぎる」と反発している。もう一つはマニトバ州だが、同州の担当者は「いずれ署名する」と述べている。同州は、米国西部の各州が排出権取引の導入のために、共同で進めてきた西部気候イニシアティブ(WCI)のメンバーにも加わっており、手続き上の課題を克服すれば、参加するとみられている。

 

 トリュドー首相は、「カーボンへの格付けは、パリ協定に沿ったもので、すべての州を対象とする」と強調している。今後、サスカチュワン州との交渉に注力する方針。

 

 首相の計画では、国内で温暖化対策を実施する際の目安となるカーボン価格は、2018年がトン当たり10カナダ㌦を目指し、2022年までに50カナダ㌦(約38米㌦)に達すると見通している。価格付けの方法として、各州はカーボン税か、排出権取引のどちらかを導入する。

 

 環境大臣のKathleen McKenna氏は「石炭火力をエネルギーミックスから除外し、代わりによりクリーンな再生可能エネルギー発電等に置き換えて温室効果ガスの排出量を削減することは、カナダの国民の健康を改善し、次世代に大きなベネフィットをもたらす」と述べている。