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経済産業省が「ごり押し」しようとする原発処理費用の国民への「過去分」負担請求。経済活動の常識を否定する経産省。自らの「政策能力」の乏しさを露呈(東京新聞)

2016-12-15 12:41:42

tepco1キャプチャ

 

   経済産業省は、不足する福島第一原発の処理費用を捻出するために、その費用を国民の電気料金に上乗せする。「賠償費用は過去の電気料金に上乗せしておくべきだった」という理屈をつけて、「過去分」と称した費用を「これから請求する」という。通常の企業活動や買い物ではあり得ないやり方に批判は絶えない。経産省の理屈をあらためてまとめた。 (吉田通夫)

 Q 費用の上乗せを経産省はどう説明しているの。

 

  原発事故の賠償のための費用はもっと前から「電気料金に積み立てておくべきだった」と言うのです。この費用を「過去分」と名付けています。積み立ての起算点は、日本で原発の営業運転が始まった一九六六年。いま大手電力会社の契約者が支払っている年間千六百億円の負担金を基に過去の負担を二・四兆円と計算し、二〇二〇年から四十年にわたり新電力の契約者も含めて幅広く請求するつもりです。

 

  後になって請求するなんてあり得ないのでは。

 

 A その通りです。例えば、つぶれそうになった食堂が「あなたが過去にうちで食べた定食の価格に使った調味料の費用を反映していなかったので、請求します」と言うようなものです。

 

 会社が傾くたびに「過去の費用を反映していなかった」と請求できるようになったら、いいかげんな経営で巨額の負債を抱えた企業でも、生き残れてしまいます。だから、企業会計の原則では、過去にさかのぼって費用を変えたり不足分を後から請求することはできないことになっています。

 

  なぜ、ひどいやり方が電気料金ではできてしまうの。

 

 A 経産省は「原発事業は超長期なので、必要な費用をあらかじめ見込むのが難しい」などと釈明しています。実は、〇五年から使用済み核燃料の処理に足りない費用を「取りはぐれた分」として、私たちの電気料金に上乗せしています。

 

 今回の「過去分」も政府が制度変更を、数人の有識者や財界人を集めた審議会で決めようとしています。自民党への根回しもほぼ終えて、このまま押し通すつもりです。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201612/CK2016121502000132.html