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インド 温暖化対策重視で新規の石炭火力発電、2027年まで追加せず。再エネ発電でカバーの方針。政府の国家電力計画案公表(RIEF)

2016-12-18 21:37:42

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 インド政府は、国家電力計画のドラフト案を公表した。それによると、2027年まで石炭火力発電所を追加しない方針が示された。 

 

 ドラフト案は中央電力機構(CEA)がまとめた。現在、石炭火力発電は50GW分が建設中で、これを除くと、追加の石炭火力発電は、想定していないという。CEAの計画は、2017年と、2022年をそれぞれ初年度とする二回の5か年計画を踏まえている。

 

 インドの電力発電能力は302GW(今年3月末)。このうち石炭火力による電力が185GWで、61.3%を占めている。実際の消費量は77.8%が石炭火力発電による消費量となっている。

 

 さらに現在、建設中の石炭火力は50.025GW分が2017年からの5か年計画期間中に稼働する見込み。ただ、その後については新規建設は見込まないという。この間、100GWの太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電が追加されるため、発電需要は満たされるとしている。再エネ発電量は倍に増える。

 

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 モディ政権はこれまで、2030年までに電力の40%を再エネ発電でまかなうとの方針を示してきた。今回のCEAのドラフト案は、非化石燃料発電のシェアを、現在の31%からから2027年に53%へと、首相の方針を上回って引き上げるとしている。

 

 エネルギー大臣のPiyush Goyal氏は、今後5年以内に導入される石炭火力発電所もCO2排出量の少ない高効率性のものとして、古いタイプの石炭火力を代替すると説明している。

 

 インド最大の電力会社である国有電力NTPCは、現在、インド国内の石炭火力の25%を運営しているが、稼働後25年以上の旧式の石炭火力はすべて停止する方針を打ち出している。Goyal氏は、他の州や電力会社もNTPCに追随するよう求めている。

 

 また同氏は「一つの行動だけで、火力発電からのCO2排出量を効率化することは容易ではないが、古い発電所をリプレイスすることで数百㌧のCO2排出量を減じることは可能だ」と漸進的な対策の意味を強調している。

 

 グリーンピース・インドは「今回の政策シフトは、インドが、電力需要の拡大に対応するために、もはやこれ以上の石炭火力を必要としないということを意味する」と評価している。さらに、電力需要拡大に対応する再エネ電力の増大は、貧困を削減し、人々の生活水準の向上にも資する、と指摘している。

 

 インドの石炭火力発電への依存を頭打ちにするという方針は、インド向けに開発されているオーストラリアのGalilee basinでのCarmichael鉱山開発の収益性にも影響するとの見方も出ている。

http://www.cea.nic.in/reports/committee/nep/nep_dec.pdf