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米国のテキサスなど24の州、オバマ政権の石炭火力発電へのCPP規制廃止を求める書簡をトランプ次期大統領陣営に送付。温暖化対策の攻防始まる(RIEF)

2016-12-24 18:41:51

trumpキャプチャ

 

 米国の温暖化政策がオバマ大統領の推進策から、トランプ次期大統領に代わって180度転換される可能性が指摘されているが、具体的な動きが表面化した。オバマ大統領提唱の石炭火力発電規制のクリーンパワープラン(CPP)に反対して訴訟中のウエスト・バージニア州など24の州の代表が、トランプ陣営に、就任後のCPP撤回を求める書簡を送った。

 

 書簡を送付したのは、西バージニア州の司法長官のPatrick Morrisey氏と、テキサス州の同、Ken Paxton氏。ともにオバマ政権のCPPを連邦議会の手続きを経ない違法規制だとして、提訴している24の州の訴訟団の代表を務めている。

 

 書簡は同じく訴訟団に加わっているインディアナ州の知事でもあるマイク・ペンス次期副大統領に宛てて送付された。内容は、オバマ政権が環境保護庁(EPA)を通して各州に州法による規制を求めたCPPは、各州の発電について化石燃料を原料とする火力発電所から、EPAが好む他の方式に変換することを強制するもので違法だとして、新政権にキャンセルするよう求めている。

 

 書簡は次期大統領と議会に対して、CPPの現行計画の停止を求めるとともに、EPAが連邦議会を無視して、各州に対して今回のような規制を指示することができないように、EPAの州に対する規制指示の権限をはく奪するよう示唆している。

 

 この点では、トランプ氏がEPAの次期長官に温暖化懐疑論者で、CPP反対の法廷闘争に加わってきたオクラホマ州の司法長官のスコット・プルイット(Scott Pruitt)氏を任命する方針を決めていることから、同氏の「EPAつぶし」路線と、書簡の要請は一致する。

http://rief-jp.org/ct4/66278?ctid=71

 

 CPP規制は、各州が州法によって、2030年までに既存の石炭火力発電所からの温室効果ガスの排出量を05年比で32%削減することを義務付ける内容。しかし、石炭産業を抱える州などから連邦議会を経ていない規制だとして反対が続出、訴訟になっている。今年2月、連邦最高裁の指示で事実上、CPPに基づく各州の規制準備作業は中断している。

 

  一方で、先月には360以上の米企業と投資家が、トランプ氏に対して、米国がパリ協定で公約した温室効果ガス削減の政策を堅持し、低炭素社会へのインフラ構築を支援するよう要請する行動を起こしている。トランプ次期政権の誕生で、米国社会の分断の危機が指摘されるが、温暖化政策はその試金石の形となりそうだ。

 

 書簡に署名した州は、次の通り。

West Virginia, Texas, Alabama, Arkansas, Arizona, Colorado, Georgia, Indiana, Kansas, Kentucky, Louisiana, Michigan, Missouri, Montana, Nebraska, North Dakota, Ohio, South Carolina, South Dakota, Utah, Wisconsin, Wyoming, Mississippi and North Carolina Departments of Environmental Quality.

http://www.in.gov/core/