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全国の市町村別、太陽光発電導入量は浜松市が第1位、認定量は仙台市がトップ。スマートジャパン調査(各紙)

2016-12-27 17:51:59

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 全国の市町村別の再生可能エネルギー発電の導入量が最も多いのは静岡県の浜松市。第2位は大分県の大分市、3位は福岡県の北九州市となった。いずれも豊富な日射量を生かした大規模な太陽光発電設備が設置されている。ただ、運転開始前の発電設備を含む認定量では仙台市が全国1位という。

 

 スマートジャパンがまとめた。それによると、再生可能エネルギーの導入量が多い市町村には共通点がある。広大な遊休地を抱える工業団地が立地している点だ。メガソーラーに転用が容易という利点だ。

 

 ただ、住宅や企業が集積する大都市でも導入量は多い。2016年8月時点の導入量でトップになった静岡県の浜松市は、工業団地が点在していてほか、市の人口は80万人と集積しており、二つの特徴を兼ね備えている。

 

 
 
 再生可能エネルギー発電設備の導入量が多い市町村トップ20(2016年8月末時点、バイオマス発電は燃料の比率を考慮)。単位:キロワット。資源エネルギー庁のデータをもとにスマートジャンが作成。

 

 浜松市内で固定価格買取制度(FIT)の対象になっている発電設備は太陽光だけ。それでも導入量は30万kWに達している。太平洋沿岸にあって全国でもトップクラスの日射量を得られるため、メガソーラーだけでなく、一般住宅の屋根置き型のパネル導入量も多い。住宅用の太陽光発電設備は1万件を超えるという。

 

 第2位から第4位の大分・北九州・津の3都市でも沿岸部に工業地帯が広がっている。大分市の臨海工業地帯では巨大なメガソーラーが点在、その中で最大規模の「大分ソーラーパワー」は105万㎡の用地に、合計34万枚の太陽光パネルが張り詰められている。発電能力は8万2000kWで、運転を開始した2014年4月時点で国内最大の太陽光発電所だった。(上の写真は大分ソーラーパワー)

 

 一方で運転開始前の発電設備を加えた認定量では、市町村の顔ぶれがかなり違ってくる。1位の宮城県仙台市は大都市だが、2位は観光地で知られる鹿児島県の霧島市。

 

 
 
 再生可能エネルギー発電設備の認定量が多い市町村トップ20(2016年8月末時点、バイオマス発電は燃料の比率を考慮)。単位:キロワット。資源エネルギー庁のデータをもとにスマートジャパンが作成。

 

 霧島市の場合、ゴルフ場跡地の利用が主だ。市内の高原に広がるゴルフ場跡地利用の「鹿児島県霧島市太陽光発電所」は2016年12月1日に運転を開始した。用地の面積は30万㎡で、発電能力は2万kW。周囲を山林に囲まれ、送電線がなかったため、地中に長さ13kmの送電線を敷設して電力を供給している。

 

 霧島だけでなく、地方ではゴルフ場の跡地をはじめ、広大な遊休地が数多く残っている。第4位の岩手県・遠野市と第5位の青森県・横浜町では、ドイツの太陽光発電事業会社が50~60万kW級の超巨大なメガソーラーを開発中だ。いずれも1000万㎡以上の用地に建設中だ。

 

鹿児島県霧島市太陽光発電所」
鹿児島県霧島市太陽光発電所」

 

 太陽光以外の再エネ発電の風力・中小水力・地熱の発電設備は総じて、地方に多い。風力発電では秋田県の由利本庄市と秋田市が1位と2位となっている。この2市の日本海沿岸部では20カ所を超える風力発電所が現在、稼働中という。まだ運転を開始していないプロジェクトを加えると、両市を合わせて36万kWの発電規模になる予定だ。

 

 

 
 風力発電の導入量(運転開始)と認定容量トップ10(2016年8月末時点)。単位:キロワット。資源エネルギー庁のデータをもとにスマートジャパンが作成。

 

 風力発電3位の島根県・浜田市では「ウインドファーム浜田」が2016年6月に運転を開始した。市内の丘陵地帯に合計29基の大型風車を設置、発電能力は4万8000kWに達する。年間の発電量は8500万kWhを見込む。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると2万世帯分を大きく上回る。

 

 中小水力でも地方の市町村が上位を占める。1位の北海道・夕張市では2万8470kWの水力発電所が2015年4月に運転を開始して導入量が一気に拡大した。3位の岐阜県・揖斐川町には「徳山水力発電所」が2万kW級の発電能力で2014年5月に稼働している。

 

 

 
 太陽光・風力以外の導入量(運転開始)と認定容量トップ10(2016年8月末時点、バイオマス発電は燃料の比率を考慮)。単位:キロワット。資源エネルギー庁のデータをもとにスマートジャパンが作成。

 4位の岩手県・奥州市ではJ-Power(電源開発)と岩手県が共同で「胆沢(いさわ)第一・第三発電所」を2014年7月に稼働させている。同じ建屋の中に3基の発電機を備えて、合計で1万5700kWの発電能力がある。

 

 地熱の場合は、秋田県・湯沢市で建設中の「山葵沢(わさびさわ)地熱発電所」の規模が圧倒的に大きい。山深い火山地帯に地熱資源の生産基地と還元基地を設けて、地下から蒸気と熱水をくみ上げて発電に利用する。4万2000kWの発電能力で2019年5月に運転を開始する予定だ。

 

 対照的に廃材やバイオマスチップなどの燃料を必要とするバイオマス発電設備は臨海工業地帯を抱える都市部に多い。東南アジアなどの海外のパームヤシ殻を燃料として輸入する場合、臨海部の港湾を活用できるためだ。導入量1位の神奈川県の川崎市では「京浜バイオマス発電所」が2015年11月に東京湾岸で運転を開始した。発電能力は4万9000kWで、国内で稼働中の木質バイオマス発電所では最大だ。

 

 年間の発電量は3億kWhにのぼり、一般家庭で8万3000世帯分の電力を供給できる。再生可能エネルギーの発電設備が少ない首都圏にあって、CO2(二酸化炭素)を排出しない電源として価値は大きい。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1612/27/news023.html