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中国・北京、大気汚染で新年迎える。 PM2.5濃度、元旦はWHO基準の20倍。2016年は石炭火力15基、12.4GW分の建設を停止(RIEF)

2017-01-02 21:47:47

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 中国の首都・北京は1日から、分厚い有害なスモッグと共に新年を迎えた。人体に有害な微小粒子状物質「PM2.5」の大気中濃度は、世界保健機関(WHO)の基準値の20倍に達した。

 

 北京では昨年12月、長期にわたる大気汚染が発生。新年を迎えた1日も、街は鼻を突く灰色のもやに覆われた。視界は数百m程度でしかなく、高層ビルの光る看板がスモッグの中に浮きあがるような光景が広がり、マスク姿の観光客もあちこちで見られた。

 

 北京にある米国大使館の観測データによると、1日朝のPM2.5濃度は1㎥当たり500μgを超え、WHOが24時間平均値の上限として推奨する同25μgをはるかに上回った。

 

 中国政府はPM2.5対策に加えて温暖化対策のため、石炭火力発電の削減に本腰を入れている。国家エネルギー局によると、中国は2016年中に建設予定だった石炭火力発電所を15基分、発電量にして12.4GW分を中止した。

 

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 発電所建設を取りやめたのは、広東省、四川省、雲南省など8つの地域に分かれる。建設中止の理由は、各地域で石炭火力発電所の能力が超過していたことと、建設を取りやめても、非化石燃料発電の増加でカバーできるため、としている。

 

 中国の発電量の3分の2は石炭火力によって供給されている。しかし、発電効率は悪く、2016年を通じて、稼働率は平均46%にとどまっているという。さらにこのままで推移すると、2030年には30%にまで下がる見通しだ。

 

 ただ、15基は建設中止になったが、2016年末時点で、約200基、発電量150GW分が建設途上にある。地方政府では燃料費の安い石炭火力建設への圧力が依然、強いという。

 

 特に石炭産出量の多い内蒙古、山西省などでは石炭火力建設需要が高い。しかし、新設の発電所を追加建設すると、石炭火力需給は悪化する。昨年末に公表されたレポートで「中国はもはや追加的な親切な石炭火力発電所は不要」との報告がなされている。

 

 中国の環境省によると、北京以外の21の都市でも、緊急事態を宣言し、幼稚園や小学校などの閉鎖に踏みきった。工場の操業停止と自動車の走行を一部停止などの措置を実施している。

 

 Greenpeace Chinaは「石炭火力発電の閉鎖がもっとも必要な対策」と政府の追加的措置を求めている。

http://www.afpbb.com/articles/-/3112930