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グローバルなエネルギー効率化市場は年率6%増で成長。2020年には100億㌦超に拡大。省エネのモニタリング・監査への需要増大(RIEF)

2017-01-02 23:40:44

energyefficinencyキャプチャ

 

 英国を拠点とするマーケットリサーチ会社のTechnavioは、グローバルな産業部門のエネルギー効率化サービス市場が今後2020年まで年率(CAGR)で6%増で成長するとの見通しを示した。

 

 Technabvioの試算によると、2016年から2020年にかけてエネルギー効率化のグローバル市場規模は、101億8000万㌦(1兆1920億円)に増大すると予測している。エネルギー効率化が進行する最大の理由は温室効果ガス削減対策の増大にある。加えて各国での規制の影響と、各企業の省エネ企業としてのブランド力向上心も市場拡大を後押しするとみている。

 

 こうしたエネルギー効率化市場のうち、規制強化に対応する監査・コンサル関連市場は、昨年だけで32億1000万㌦の市場を形成している。さらに2020年には4割増の年間45億1000万㌦に達するという。

 

 推計によると、エネルギー効率化市場の拡大の影響は、まず、化石燃料使用の削減に貢献する。加えて、各企業のブランドイメージの向上と規制当局の影響も無視できない。

 

 Technavioはエネルギー効率化市場を複数の分野に分けている。監査・コンサルタント、生産・システム最適化、M&Vs(モニタリング&認証)である。このうち、監査・コンサルタント分野では、産業・企業が当局の規制強化に最適に対応することから、需要が増大するとみている。

 

 たとえば欧州連合(EU)Tのエネルギー効率化指針は、電力業界や大規模産業セクターについてエネルギー効率化の20%向上を求めている。さらに同指針は、EU内のすべての大企業について、4年ごとにエネルギー監査の実施を要求している。企業側はこうした規制への自らの対応が適正かどうかを第三者の監査・コンサル業界に検証を求めることになる。

 

 2015年時点で、エネルギー効率化部門のグローバルな市場規模は、32億1000万㌦と見積もられている。これが2020年には4割増になると推測される。こうした需要増加の背景には、パリ協定を踏まえた各国当局の温室効果ガス排出規制の影響が大きい。

 

 英国では、省エネ機会スキーム(ESOS)と呼ぶ制度を導入、大規模企業に対して、4年ごとに自らの温室効果ガスの排出量の計測、評価、情報開示を義務付けている。先進国だけではない。インドでもエネルギー保全法の制定で、大規模エネルギー消費産業において、エネルギー監査・コンサルタントの実施が推奨されている。

 

 エネルギー効率化は単に省エネ機器やサービスの導入だけで実現するわけではない。設備の省エネ機能だけでは全体の省エネレベルの向上につながっているかは不明だ。当該産業・企業のエネルギー効率化を全体的に評価・マネージして初めて、費用対効率化の優れた対応が可能になる、としている。

 

 

 このため、M&Vビジネスは、エネルギー効率化マネジメントの軸になる役割を秘めている。エネルギー効率化サービスの実際の効果をモニタリングし、第三者としての評価を与えることで、企業のエネルギー効率化対策の費用対効果が明確に示されるためだ。

 

 この M&V市場は各国当局の規制の強化に歩調を合わせて拡大している。特に、中国市場では、当局が温暖化対応の強い政策意図を発揮していることから、同時にM&V市場の拡大も急ピッチで起きている。

 

 米国のエネルギー省(DOE)はこうしたM&V市場の拡大に向けて、International Performance Measurement and Verification Protocol(IPMVP)を設定している。同プロトコルに準拠することで産業・企業は効率的なエネルギー効率化対策を実施することができるほか、投資家も、IPMVPの有無を投資判断に組み込むことができる。

 

 Technavioは、こうしたエネルギー効率化に積極的に取り組んでいるグローバルプレイヤーとして、Siemens、Honeywell、TERI、DuPontの各社を例示している。日本企業の存在感は明確ではない。

 

http://www.technavio.com/report/global-automation-global-industrial-energy-efficiency-services-market-2016-2020?utm_source=T4&utm_campaign=Media&utm_medium=BW