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米NY市近郊の原発2基を閉鎖へ。州と電力会社が合意。ニューヨーカーたちの安全重視、2021年までに。代替電力は風力等クリーンエネルギーで(各紙)

2017-01-10 16:15:52

Indianpointキャプチャ

 

 各紙の報道によると、米ニューヨーク州のクオモ知事(民主党)は9日、ニューヨーク市近郊のインディアンポイント原発の2基の原発を2021年までに閉鎖することで、同原発の持ち主である電力会社エンタージーと合意したと発表した。人口密集地域に近く危険だとして、知事は廃炉を訴えてきた。

 

 同原発はニューヨーク市中心部マンハッタンの北から約57kmのハドソン河沿いのブキャナンにある。ニューヨーク市と近郊のウエストチェスター郡の合計消費電力の4分の1をまかなってきた。しかし、原発の近くに断層があることなどから、東京電力福島第一原発事故後に閉鎖を求める住民の声が高まっていた。クオモ知事は「ニューヨーカーの安全を守るため、エンタジー社と合意できたことを誇りに思う」と述べた。

 

 インディアンポイント原発はこれまでも、再三にわたって、部品の欠陥、汚染水の漏洩、操業停止などの安全上のトラブルを発生させてきた。ニューヨーク州に近いだけでなく、マンハッタン島の北に位置するため、万一、事故が起きると、マンハッタンの人々は逃げ場がないという致命的な地理的課題を抱えていた。

 

 1962年に稼動したユニット1は、10年ほど運転した後、原子炉の中心部分の冷却装置が基準に合致しないという異常事態が発覚、1972年10月に先行して停止されている。

 

 同原発はウエスティングハウス製の加圧水型軽水炉(PWR)で、稼働中の2基はそれぞれ1973年と75年に運転許可を得ている。ともに運転から40年を経過した老朽原発である。最大出力の合計は2000MW。エンタージーは、米国でシェールガスの生産が増えてエネルギー価格が下がったことや、原発は安全コストが上昇していることなどから、これを期に、商業用原子炉ビジネスから撤退、本拠地である米国南部での事業展開に集中する。

 

 インディアンポイント原発の廃炉に伴う代替電力は、Blackstone Groupの関連会社が推進している 水力発電と風力発電の大プロジェクトであるChamplain Hudson Power Express と、ノルウェーの石油大手のStatoil ASAが大西洋で建設中の洋上風力発電などのクリーン電力でまかなうという。Champlain Undsonは1000MW、Statoilの事業は400~600MWの発電が見込める。このほか、天然ガス火力なども活用する。ただ、電力業界では、2000MW分を代替するのは現在の新規建設計画だけでは不十分で、他の州からの電力購入も必要との指摘もある。

 

 

 このため、ニューヨーク州は、原発を閉鎖しても電力利用者が支払う電気料金にはほとんど影響がないと見込んでいる。インディアンポイントのユニット2は、2020年4月までに閉鎖され、ユニット3は2021の春までに閉鎖される予定。

https://en.wikipedia.org/wiki/Indian_Point_Energy_Center