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サウジアラビア 総額最大500億㌦の太陽光・太陽熱発電事業を近く入札へ。2023年までに10GWのソーラー発電に投資(RIEF)

2017-01-18 12:51:36

saujiキャプチャ

 

 サウジアラビアのエネルギー相Khalid Al-Falih氏は、数週間以内に、総額300億~500億㌦(3兆4500億~5兆7500億円)という大規模な再生可能エネルギープログラムの最初の入札を開始することを明らかにした。

 

 Al-Falih氏はアブダビで開いたエネルギー会議で見解を述べた。2023年までに太陽光・太陽熱と風力発電を軸として10GWの発電容量を確保する計画だ。このうち最初の入札の対象は、風力発電が400MW分、太陽光・熱発電が300MW分となる見込み。入札契約はサウジの電力事業者、Abdul Latif Jameel Energyが担当する。

 

 Al-Falih氏によると、2030年までに、サウジの電力供給の70%は天然ガスから、30%は再生可能エネルギーから供給する計画という。

 

 サウジはOPEC(石油輸出国機構)の盟主で、最大の石油輸出国だが、ここ2年にわたって石油相場がバレル当たり50㌦前後で低迷してきたことで、財政赤字を抱えるなど、経済的にも打撃を受けている。このため国内経済の石油依存体質の改革を目指している。

 

 昨年4月には副首相のMohammed bin Salman王子が、政府の収入の主要源を石油販売から多様化する方針(サウジアラビア・ビジョン2030)を打ち出している。その中で、太陽光・熱発電については9.5GWとしていたが、目標年限は示していなかった。今回2023年までに10GWという目標が確定した形だ。

 

 国営石油会社のサウジ・アラムコは、再エネ発電について2020年までに3.45GWに高めるとの声明を出した。こうした実務的な動きを踏まえ、2023年までに10GWという目標への投資は「ちょうど始まった」とAl-Falih氏は述べている。市場関係者も、2023年目標の達成は、大きな問題はない、とみている。ただ、2050年の目標については、今後の石油等エネルギー相場の動向や、パリ協定の実施状況等によって不透明感が残っている。

 一方、Al-Falih 氏は原発について、合計2.8GWの発電能力を持つ2基を建設するため、すでにエンジニアリングの前工程とデザイン段階に入っていることも明らかにした。

 

  現在、サウジで稼働中の太陽光・熱発電事業は、小規模なものを除くと、サウジ・アラムコが本社の自動車駐車場の屋根に10MWの設備を置いて発電しているのが最大。国営電力会社のサウジ電力は最初の入札分の一環として2ヶ所のメガソーラー事業(100MW分)を立ち上げる計画だ。

 

 サウジはこれまで、2012年にエネルギー政策機関のKing Abdullah City for Aftomic and Renewable Energy(KACARE)がまとめた計画で、2032年までに国の発電量に占める非化石燃料発電の割合を50%に引き上げる目標を掲げていた。そのうち太陽光・太陽熱については、1000億㌦以上を投じて41GWを新規に開発する計画だった。

 

 しかし、2015年1月に、技術的な検証等の必要性から、計画を2032年から2040年に10年近く遅らせる方針に転じていた。今回の入札の実施は、ステップバイステップで推進する現実的なアプローチをとっていく姿勢を示したといえる。

 

https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-01-16/saudis-seek-up-to-50-billion-for-first-phase-of-renewables-plan?utm_source=Inside+Climate+News&utm_campaign=6c4cdabbad-Clean_Economy_Wire12_10_2014&utm_medium=email&utm_term=0_29c928ffb5-6c4cdabbad-327781481