HOME5. 政策関連 |トランプ政権 環境政策への圧力強める。環境保護庁(EPA)の温暖化関連研究・データの公開に「政治的レビュー(検閲)」を導入へ(RIEF) |

トランプ政権 環境政策への圧力強める。環境保護庁(EPA)の温暖化関連研究・データの公開に「政治的レビュー(検閲)」を導入へ(RIEF)

2017-01-27 01:38:30

EPAキャプチャ

 

  トランプ米大統領はオバマ前政権時代の環境政策見直しを進めているが、今度は環境保護局(EPA)の情報発信を全面的にコントロールする方針を打ち出した。科学的な分析やデータの公開は、トランプ政権の政治任命者の了承を経ることを条件とする通達を出した。

 

 トランプ政権のEPA移行チームで情報担当役であるDoug Ericksen氏が明らかにした。政治的レビューの対象情報は、EPAがウェブサイトで、地球温暖化問題や、人類起源のカーボン排出への批判等を示す科学的データや分析などを含めるという。つまり、温暖化の進行や原因解明の情報を選別するわけだ。

 

 「環境情報の検閲制度」と言ってもいい。さらに、気候変動問題などでEPA職員がメディアの取材に応じたり、インターネット交流サイト(SNS)に投稿したりすることも規制対象となる。EPAだけでなく、農務、内務、厚生の各省職員も情報発信を制約されるという。

 

  一部の報道では、EPAのホームページから気候変動に関係する部分を削除するよう指示が出た、としている。27日時点では、そうした削除がなされた気配はない。www.epa.gov

 

 Ericksen氏は、そうした指示はまだ出ていないとしながら、「ウェブサイトも、フェースブックも、気候変動関連の情報も、すべてはケースバイケースでみていく」と説明し、場合によって、”不都合な真実”を国民の目から隠す可能性を示唆している。

 

 EPAの科学者が集め、分析した温暖化や水質等の観測データは、米国民だけではなく、世界中でも重要な情報源となっている。しかし、トランプ政権はこれらの科学的データの公開を制限する方針という。この点についてEricksen は「すべては政治レビューが前提となる」と述べ、都合の悪いデータ、情報は公開しない可能性を匂わせている。

 

 EPAチームの情報開示の制限方針に対して、大統領報道官のSean Spicer氏は、一歩引いた発言をしている。「EPAの“情報弾圧”は、ホワイトハウスの指示によるものではない」としたうえで、「政権が交代すれば政策が見直されることは、驚くことではない」と述べている。

 温暖化問題に懐疑的だった共和党のジョージWブッシュ政権の時代に、EPAの副局長を務め、現在はジョージタウン大学教授のGeorge Gray氏は、「科学的データ等の評価は、普通は、役所の下から積み上げるもので、高度な判断をする場合でも、内容をいじったりはしない」と、ブッシュ政権でも客観性を重視してきたことを明かす。

 

 「科学的研究は、研究室や役所の担当部局で評価されるものだ。時には、論議を呼ぶテーマが回ってくることはある。私は政治任命だったが、 それらに何かを加えたりすることはなかった」と、経験を明かす。

 

 EPAは、オバマ前政権時代に導入された環境規制を撤回する作業にも取り掛かっている。ターゲットとなるEPAの規制は最低でも30あるという。州レベルの汚染規制の更新、再生可能燃料基準、木材製品から浸み出るホルムアルデヒドの量的規制などを含んでいる。

www.epa.gov