HOME8.温暖化・気候変動 |昨年の日本での風力発電設備導入量、前年比2割減の195MWにとどまる。政策支援少なく、コスト高も影響。ただ、2020年代の早期には累計1万MW台の可能性。日本風力発電協会の調べ(RIEF)  |

昨年の日本での風力発電設備導入量、前年比2割減の195MWにとどまる。政策支援少なく、コスト高も影響。ただ、2020年代の早期には累計1万MW台の可能性。日本風力発電協会の調べ(RIEF) 

2017-01-30 17:43:37

Windoキャプチャ

 

 日本風力発電協会(JWPA)の発表によると、国内の風力発電の導入量は2016年1年間の導入量は195MWで前年比約2割減となった。ただ、2016年度累計での導入量は、前年度から300MW増加し3,378MWとなる見込み。このほか、環境アセスメントなどを実施中の案件が7640MWあり、同協会では2020年代の早い段階で、累計1万MWの導入量に達すると推計している。

 

 JWPAは、年間の導入量が前年(244MW)を下回ったのは、日本全体の導入量が小さいことから、プロジェクトの数と規模に、全体の導入量が大きく左右されるため、と評価している。昨年中に稼動した新規プロジェクトは13発電所、基数98基だった。昨年末での累計導入数は、発電所が446箇所、風車数が2175基となっている。

 

 年度で3378MWに達する風力発電の累計発電量は、大型の原発3基分に匹敵する。電力会社別の導入量でみると、風況のいい立地が多い東北電力が893MWで最も多く、二番手の九州電力(497MW)のほぼ倍近い量を確保している。三番手は東京電力(444MW)。

 

windgeneration2016キャプチャ

 

 都道府県別では、トップは前年に引き続いて青森県が380MW以上となっている。2位は、秋田県が前年度から60MW以上を上積みして、前年2位の北海道を追い抜いた。これら3道県は、沿岸部を中心に風況のいい地形が多く、今後も導入量が増える見通しだ。

 

 ただ、北海道や東北の場合、電力の需要地は首都圏が中心になることから、発電地域から需要地域までの系統接続力を強化する必要性が高まっている。

 

Windgeneration2キャプチャ

 

    世界的にも再生可能エネルギーの主力は、太陽光発電から、風力発電、それも大規模開発が可能な洋上風力にシフトしている。2015年末の全世界での風力発電の累計導入量は40万MWを突破している。日本の導入量の118倍という存在感だ。

 

 四方を海に囲まれた日本は、洋上風力発電で潜在的な開発余力が大きいとされる。ただ、発電コストは海外では毎年大きく低下しているが、日本でのコストは海外事業の1.6倍も高い。高コストの国内市場は、技術の確立した海外メーカーにとっては、利幅の大きな市場となり、国内の風力発電設備の導入メーカーをみると、65%以上を海外のVestas、GE、Enerconなどが占めている。

 

windgenearation3キャプチャ

 

 三菱重工業、日立製作所、富士重工、日本製鋼所などの国内メーカーが奮起して、価格競争力のある風力発電を国内市場に投入することが求められる。

 

 昨年は港湾法の改正で、港湾区域での占有許可の期間と手続きが明確化され、風力発電の設置増が見込まれている。また福島県沖で進めている洋上風力発電プロジェクトが本格運転に近づくことなどから、JWPAでは「今年が、洋上風力発電の元年となることを期待している」としている。

 

http://log.jwpa.jp/content/0000289479.html