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日立製作所も米原発事業で損失700億円計上。IHIは米ウエスチングハウス向け出資186億円分引取りを東芝に要請の可能性。原発事業は「損失の源泉」との理解、産業界広がる(各紙)

2017-02-02 18:51:52

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 大手企業の原発事業見直しの動きが広がってきた。日立製作所は、米国での原発事業で2017年3月期に700億円の営業外損失が出る見通しになったと発表した。IHIは東芝傘下の米原子力会社ウエスチングハウス(WH)への出資分を、東芝に買い取りを請求する可能性を公表した。共通するのは「原子力事業は損失の源泉」という事実だ。

 

 日立は米ゼネラル・エレクトリック(GE)と原子力の合弁会社の「GE日立ニュークリア・エナジー(GEH)」を設けているが、同社の子会社のGE日立レーザーエンリッチメント社(GLE)が手がけていたウラン燃料の新しい濃縮法の開発事業から撤退し、見込んでいた収益が得られなくなったとしている。その結果、日立がGEHに出資する800億円のうち、700億円を減損処理する。損失額は日立の営業利益の10%を超える。

 

 損失の計上後、GEとの合弁会社の株式のうち、日立の持ち分の価値は約110億円しか残らないといい、「これ以上の大きな損失リスクはない」(西山光秋専務)と説明している。そうではなく、出資分から利益をあげることができないまま、ほぼ使い果たしてしまった、と株主に謝罪すべきだろう。

 

  日立は英国で2012年に買収した原発事業開発子会社のホライズン・ニュークリア・パワーを通じて、ウェールズのアングルシー島など2ヶ所で4~6基の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)の建設計画を進めている。同計画の継続性について、西山専務は「海外で初めての建設で、もともとリスクはある。英国政府やプラントメーカーと協議し、リスク管理を徹底する」と述べた。

 

  一方、IHIは、2016年4~12月期連結決算発表で、東芝が約7000億円の損失を計上する見通しの米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)への出資分3%について、東芝に買い取りを請求する可能性があることを明らかにした。東芝が多額の損失処理をする見込みで、このままではIHIも損失計上を迫られる恐れがあるためだ。

 

 IHIの望月幹夫取締役常務執行役員は「まずは東芝の決算の開示を待ちたい。その上で減損が必要なら損失が出ないような対策を取りたい」と話した。IHIは2006年に、WHに1億6200万㌦(約186億3000万円)の出資を決め、その際、事態の変化によってIHIから東芝に買い取りを請求できる契約を盛り込んでいる。東芝は14日に連結決算とWHの減損内容を公表する予定。

 

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