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中国政府 7月から「再生可能エネルギー証書(RECs)」取引のパイロットスキーム開始へ。

2017-02-09 16:22:25

China RECキャプチャ

 

 中国は今年7月から再生可能エネルギー証書(RECs)の国内取引のパイロット事業を開始する。国家発展改革委員会(NDRC)が明らかにした。太陽光や風力発電等による再生可能エネルギー事業者がRECsの販売で追加的収入を得ることで、グリーン事業の拡大とともに、政府補助金の削減につなげるのが狙いという。

 

 パイロット事業の進展をみて、来年には義務的制度に移行する方針という。中国は年内に、全国ベースの排出権取引制度(ETS)の導入を既に決めており、企業ベースはETSのカーボンクレジットで、再エネ発電ベースはRECsで、環境価値を市場価値に換算して、経済合理的な選択を通じて低炭素社会移行につなげる方針だ。

 

 RECは再生可能エネルギー事業者に対して、発電する電力の経済的価値以外に、CO2削減につながる環境付加価値を認め、取引可能とする仕組み。わが国でも現行の固定価格買い取り制度(FIT)導入以前のRPS法(新エネルギー利用特別措置法)において、一定の価値が認められ、取引が行われていた。現行は自主的なグリーン電力証書の取引が行われている。

 

 中国が7月に導入するのは「Green Certificates」と呼ばれるパイロットスキーム。当面は、再エネ事業者を対象とした自主的なものだが、NDRCが設定する「クリーンエネルギー発展基準」を満たさない汚染度の高い事業者については、当局が認定したRECsを購入する目標を示すという。証書は時間当たり1MWhを単位とする見通し。

 

 中国は石炭等の化石燃料依存のエネルギー構造を改善するため、2020年までに500GW分の再エネ電力を導入する国家計画を立てている。内訳は、水力発電で300GW、風力が150GW、バイオマス30GW、太陽光は20GWなどとなっている。計画通りの再エネ発電が導入されると、総発電に占める再エネ比率は2006年の8%から2020年には15%にほぼ倍増する。現在の比率は11%となっている。

 

 今回のパイロットスキームでRECsを認められるのは、再エネ事業のうち、太陽光、風力の両発電になる見込み。水力等はすでに普及がかなり進んでいるので、対象外になる。

 

 RECs制度の導入は、再エネ発電の普及を後押しするためで、再エネ事業者は発電電力に加えて、RECsを売買することで追加収入を得ることができる。一方、政府にとっても再エネ事業者に対する補助金等の政策支援資金を削減できる余地が膨らむ。RECs証書を売却した再エネ事業者は、政府補助金を受け取れないことになるという。

 

 中国政府は先月、新規の大規模太陽光発電や陸上風力発電設備の建設に対する売電価格保証のための補助金を、来年1月から削減する方針を明らかにしている。今回のRECsスキームの立ち上げはそうした方針に伴う資金面の穴埋め的要素もあるようだ。

 

 すでに中国国内では、国際的基準に基づくRECsを売買する取り組みも行われている。