HOME |昨年の環境装置受注実績、前年比41.9%の急増。石炭火力発電等の増大で、大気汚染防止装置需要が増大。「緩い温暖化規制」が環境機器需要を生み出す(RIEF) |

昨年の環境装置受注実績、前年比41.9%の急増。石炭火力発電等の増大で、大気汚染防止装置需要が増大。「緩い温暖化規制」が環境機器需要を生み出す(RIEF)

2017-02-14 23:54:24

daturyuuキャプチャ

 

 一般社団法人日本産業機械工業会は2016年の環境装置受注実績が、前年比41.9%増の8109億8000万円と2年ぶりに急増したと発表した。石炭火力発電等の増加の結果、発電施設向け排煙脱硫装置等の大気汚染防止装置の受注増が全体を引き上げた形で、環境意識の高まりが背景とは言えない。

 

 産業機械全体の受注額は、前年比3.5%増の5兆6089億円だった。そのうちで環境装置受注実績が40%増を超える伸びを示したのは、官公需と民需でも電力や鉄鋼業などの重厚長大産業での環境対策需要の増大による。

 

 官公需は、自治体のごみ処理装置や水質汚濁防止装置、大気汚染防止装置などの需要が前年比42.8%増の5781億2100万円と膨らみ、絶対額ではもっとも大きかった。民需は絶対額では官公需より小さいものの、製造業、非製造業とも、伸び率は48.8%増、48.9%増と、ともに5割増近い伸びを記録した。

 

 装置の種類別では、大気汚染防止装置が前年比倍以上の106.7%増の1271億200万円となった。大気汚染関連機器への需要が増大したのは、電力自由化で投資コストの安い石炭火力発電所の計画・建設が相次いでいることが大きい。

 

 発電所建設の鉄鋼需要増に加えて、火力発電からの温室効果ガスの排出増や、硫黄酸化物、窒素酸化物等の大気汚染物質が増大したことで、排出抑制のための環境機器需要が急増した形だ。

 

 直近の16年12月の環境装置受注実績は前年同月比6.1倍増の1420億9000万円で、環境装置需要増の傾向は続いている。官公需は都市ゴミ処理装置の増加で6.7倍増の1124億1400万円、民需も大気汚染防止装置需要増が続き、同6.1倍増の241億5400だった。民需の製造業は機械向けの自家発電施設での大口受注で、同11.1倍増の138億3800万円と急伸した。

 

http://www.jsim.or.jp/tokei/tokei_28.html