HOME |2050年時点で太陽光など自然エネルギー「100%達成シナリオ」、化石燃料依存より総額84兆円の節約に。WWFジャパンが試算(RIEF) |

2050年時点で太陽光など自然エネルギー「100%達成シナリオ」、化石燃料依存より総額84兆円の節約に。WWFジャパンが試算(RIEF)

2017-02-17 17:45:52

WWGJキャプチャ

 

 環境NGOの世界自然保護基金(WWF)ジャパンは、日本が2050年までに石炭や石油などの化石燃料に頼らない「100%自然エネルギーシナリオ」を実現すれば、約40年間の設備費用等を考慮しても、燃料代節約などで、現行のエネルギー構成に比べて全体で84兆円の節約が可能との試算を発表した。2050年時点での温室効果ガスの排出量は95%削減が実現できる、としている。

 

 同試算は、2050年に日本のエネルギーがすべて再エネによって供給される「100%自然エネルギーシナリオ」と、政府が掲げている「2050年までに温室効果ガス排出量を80%削減」のシナリオを、「100%自然エネシナリオ」に向けた橋渡しとなるとの意味で「ブリッジシナリオ」と名づけて、比較した。

 

 「100%シナリオ」は、省エネによる最終エネルギー消費量についても、2050年までに約半分減らす(2010年比47%減)としている。太陽光や風力のような再エネについては、発電出力が変動する課題があるが、WWFは全国の電力系統が一体的に利用でき、太陽光と風力の発電量の比率が2:1になっていれば、課題は克服できるとしている。

 

 また、電力需要を自然エネで供給すること自体は、大きな課題ではなく、それよりも熱・燃料需要を満たすほうが課題になる、として、この課題克服のためには、バイオマス利用の大幅普及と、余剰電力を水素転換し、水素活用を広めることが重要としている。

 

 「100%シナリオ」達成のためには、設備費用として産業部門や家庭での省エネに191兆円、太陽光などの再エネ設備の導入に174兆円、合計で365兆円の投資費用が必要とはじいている。その一方で化石燃料の消費が減ることから、運転費用は449兆円のマイナス(節約)が図られ、差し引き、84兆円の節約効果が得られるとしている。

 

 これに対して、政府が示している「ブリッジシナリオ」では、「100%シナリオ」に比べて、省エネで5年程度、自然エネ供給で10年程度の遅れが生じるとしている。2050年の温室効果ガス削減率は、2010年比81%で、同年までの40年間の設備費用は296兆円、運転費用392兆円のマイナス、差額で96兆円の節約となる、としている。

 

http://www.wwf.or.jp/activities/upfiles/170216energyscenario04_ES_Final.pdf