HOME5. 政策関連 |フィンランド 2045年にも「カーボンニュートラル」達成へ。農林・環境相が公言。森林のCO2吸収能力がカギ。スウェーデンなども含め北欧諸国は政治だけでなく、CO2でも「中立国」に(RIEF) |

フィンランド 2045年にも「カーボンニュートラル」達成へ。農林・環境相が公言。森林のCO2吸収能力がカギ。スウェーデンなども含め北欧諸国は政治だけでなく、CO2でも「中立国」に(RIEF)

2017-02-22 23:00:11

Finlandキャプチャ

 

 フィンランドは2045年にも、国全体でCO2排出収支をゼロとする「カーボンニュートラル」を実現できると、同国の農業・環境大臣が宣言した。石炭は一切使わず、石油も半分とし、電気自動車、天然ガス自動車の導入などの再生可能エネルギーの活用に加えて、豊富な森林資源でCO2を吸収し、カーボン収支をバランスさせるという。

 

 農業・環境相のKimmo Tiilikainen氏は、フィンランドだけでなく、北欧諸国はそろって気候変動対策で世界のリーダーになるべきだと主張、スウェーデンも同様の目標を設けていると指摘した。ただ、同国の緑の党や環境団体は、「政府の政策でカーボンニュートラルを達成できるかは疑問だ」と不満を漏らしているという。

 

 Tiilikainen氏によると、パリ協定を受けた同国政府のエネルギー気候戦略では、2050年の同国のCO2排出量を90年比で80~90%削減する目標を立てている。これらの排出量削減に加えて、残る排出量についても、同国の森林資源によって吸収できることからカーボンニュートラルが実現する見通しだ。同氏は「早ければ、ニュートルの実現は、政府目標よりも少し早い2045年に達成できそうだ」と述べた。

 

 同国は2050年までの中間年に当たる2030年までに、25万台の電気自動車と、5万台天然ガス自動車を導入するほか、少なくとも自動車燃料の3分の1位はバイオ燃料に切り替えるなどの自然エネルギー活用で、化石燃料からの離脱を目指す。その結果、2030年までに石炭は完全にエネルギーとしては使われなくなり、石油の使用も半分に減少する。

 

 フィンランドの強みは、豊富な森林資源によるCO2吸収力だ。現行でも、年間のCO2排出量の約30%は森林が吸収している計算だ。ただ、緑の党らは、森林の過剰な伐採が進んでいることへの不満が強い。現在の政府の計画では年間8000万㎥の木が伐採され続けているという。さらに観光や自然のリクリエーション使用によっても森林スペースが減少している。

 

 こうした見方に対して、Tiilikainen氏は「森林伐採には雇用増や輸出収入増などのプラス効果もあるうえに、森林の再生・植林を展開していくので、森林のCO2吸収源能力は減退することなく再生されていく」と反論している。

http://www.finlandtimes.fi/weather/2017/02/21/31774/Finland-to-achieve-carbon-neutrality-by-2045#prettyPhoto[]/0/