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米カリフォルニア州議会で 2045年までに再エネ100%化の法案提出。2030年までには50%。トランプ政権の温暖化対策弱体化に対抗(RIEF)

2017-02-27 15:56:48

Californiaキャプチャ

 

 米カリフォルニア州議会で、2045年までに州内の電力を100%再生可能エネルギー発電に切り替える法案が提出された。現行の州計画では、2030年に再エネ50%の達成を目標としているが、これを25年に前倒しし、さらに100%目標を設ける内容。トランプ政権になって、米国の温暖化対策の後退が懸念されるが、環境先進州の対策はさらに加速しそうだ。

 

 現在、米州のうち2045年に100%再エネ電力化を宣言しているのは、ハワイ州だけ。法案が成立するとカリフォルニア州は、全米で二番目の「クリーン電力州」の栄誉を得ることになる。

 

 法案を提出したのは、同州上院議員の Kevin de Leon (民主党)。現カリフォルニア州は2015年に「再生可能エネルギーポートフォリオ標準計画(California Renewables Portfolio Standard Program )」を制定、州内で販売される電力の再エネへの切り替えを、2016年末までに25%、2020年までに33%、2030年までに50 %とすることを決めている。

 

カリフォルニア州上院議員のKevin De Leon氏
カリフォルニア州上院議員のKevin De Leon氏

 

  De Leon議員が提出した法案は、これらの目標年限を修正したうえで、新たに100%削減目標を2045年とする内容だ。修正するのは、2030年の50 %削減を5年前倒しし、2025年目標にする。再エネ目標の前倒しの理由として、すでに2016年末の目標が計画値を上回る27%となっているほか、過去10年間に同州の再エネ発電能力が倍増している点も大きい。

 

 また同州で再エネ電力を組み込んだ電力を販売しているPacific Gas and Electric Company(PG&E)は、2015年時点で、同社の家庭向け電力の再エネ比率を29.5%にまで引き上げるなど、再エネ導入が現実にも進んでいる点も法案の提出を後押しした。De Leon議員は「現在の州計画はもはや遅れている。もっと目標を高めても、実行できる」と提案理由を説明している。

 

 トランプ政権は、オバマ前政権が進めてきた温暖化対策を全面的に見直す方向で、パリ協定からの脱退の示唆のほか、環境保護庁(EPA)の長官に、温暖化懐疑派のプルイット氏を任命するなどの「後退政策」を打ち出している。しかし、これまで連邦の先を行く形で温暖化政策を推進してきた各州は、州独自の立場で、温暖化対策を強化する方針をとっている。

 

 カリフォルニア州以外でも、1月にマサチューセッツ州で、化石燃料発電を2035年までに完全廃止し、さらに暖房や自動車などについても2050年に完全に再エネ100%化する法案が提出されている。

 

 ネバタ州では、現行の2025年に再エネ比率25%を目標とする電力ポートフォリオ基準を改正し、2040年に80%目標に切り替える法案が今月に入って提案されている。

 

 全米の各州は、EPA長官に就任したプルイット氏が司法長官を務めていたオクラホマ州や、バージニア州、ノースダコタ州、ペンス副大統領が知事を務めたインディアナ州などの石炭・石油等化石燃料産出州が、トランプ政権による温暖化政策の規制緩和を強く支持している。一方で、米大陸の東西両端に位置する環境保護意識の高いニューヨーク州やカリフォルニア州などが、再エネ発電主導の加速を推進するという、二極構造になっている。

 

 カリフォルニア州のDe Leon議員らは、仮に連邦議会で再エネ促進に待ったをかける形の法案が成立しても、カリフォルニア州の温暖化対策の後退は防ぐ、と言明している。

 

https://leginfo.legislature.ca.gov/faces/billNavClient.xhtml?bill_id=201720180SB584