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出光興産 九州・大分で国内最大規模の「バイナリー地熱発電所」を稼動。一般家庭1500世帯分(RIEF)

2017-03-02 18:29:42

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   出光興産は1日、大分県九重町で、同社として初となるバイナリー方式での地熱発電所を稼働させた。出力は5050キロワットで、国内では最大規模となる。発電した電力は、固定価格買取制度(FIT)を活用し、地元の九州電力のほか、出光子会社の新電力会社等に売電する。

  地熱バイナリー発電所を開設したのは、九重町の「滝上バイナリー発電所」。同所から南西に500mのところに近接する九電の滝上発電所(出力2万7500kW)で使った熱水の供給を受けて電気を起こす。従来の地熱発電では、低温の蒸気・熱水での発電はできなかったが、
バイナリー発電では、水よりも沸点の低い液体を加熱・蒸発させてタービンを回す構造で、130度の熱水も発電できる。

 運営は出光子会社の出光大分地熱(東京・千代田)が行う。年間の発電量は一般家庭1500世帯の電力使用量に相当する3100万kWhの予定。FITでの売電価格は、1kWh当たり40円で、メガソーラーなどのほぼ倍と有利で、収益を確保できる。

 

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  出光は、1970年代の石油危機の影響を受けて事業多角化を開始、地熱事業についても1979年から取り組んできた。今回、地熱発電を開始した滝上地区でも、1996年に九電滝上発電所の操業開始以来、出光側から九電に発電用蒸気を供給してきた経緯がある。ただ、当時は電力事業への参入ができなかったので、蒸気の提供にとどまっていた。現在は、北海道や秋田県でも、国際石油開発帝石、三井石油開発と組み、地熱開発を進めている。

 

 地熱発電は再生可能エネルギーの中でも、太陽光や風力発電のように、天候に左右されずに安定的な電力供給が可能な利点がある。日本には世界の約10%の地熱資源が存在しているとされ、開発可能性は世界第3位とされる。ただ、地熱発電は、設備費用がかかるほか、国立公園等の圏内に多く、計画から開発までに時間がかかる課題がある。

 

 日本では現在、全国で計50万kWの地熱発電所が稼働する。政府はこれを、2030年には3倍の計150万kWに引き上げる方針だ。

http://www.idemitsu.co.jp/company/news/2016/170301_2.html