米アマゾン 年内に全米を中心に約15カ所の集配・仕分けセンターの屋根をソーラー化。2020年には世界50カ所に拡大。トランプ政権下でも温暖化対策を率先へ(RIEF)
2017-03-04 23:26:22
グローバル企業のアマゾンは、今年末までに米国を中心に大規模な集配・仕分けセンター15カ所以上に、合計で41MWの太陽光発電設備を整備すると公表した。建物の屋根に大規模ソーラーシステムを設置する。さらに2020年までに対象を世界にも広げ、約50拠点の「ソーラーファクトリー化」を進める計画という。
同社のグローバルオペレーション担当のSenior Vice PresidentであるDave Clark氏は「われわれの集荷センターのネットワークは拡大を続けている。このネットワークから、地域コミュニティやビジネスリーダーと協力して、地域に役立つ再生可能エネルギーをさらに多く生み出したい」と述べている。
さらに「エネルギー・ポートフォリオを多様化することによって、ビジネスコストを引き下げ、その恩恵を顧客にも提供できる。サステナビリティのウィン・ウィンゲームとなる」と意義を強調している。
本年末までに整備する15カ所の太陽光発電設備は、米国内のカリフォルニア、ニュージャージー、メリーランド、ネバダ、デラウェアの各州などが対象となる。各センターによって多少の違いはあるが、屋根置き太陽光発電設備によって、各センターの必要発電量の80%を自前で供給できるようになるという。
たとえばカリフォルニア州の Pattersonにあるセンターの場合、110万平方フィートの屋根の4分の3以上にパネルを設置する。
アマゾンはすでにテキサスの拠点に巨大な風力発電所を持っているほか、インディアナ、ノースカロライナ、オハイオ、バージニアの各州に設置した太陽光と風力の各発電設備の電力は、アマゾンの巨大データセンターの電力源として活用されている。これまでに同社が公表したり建設を開始した再エネ事業による発電総容量は3600GWに達する。
また、同社が昨年、購入した再エネ電力規模は全米でもっとも多い(ということは世界でも最大)。また、シアトルの本社ビルでは回収したエネルギー を空調に利用するDistrict Energy Projectも導入している。
米国ではトランプ政権に代わって、これまでの温暖化政策が大幅に見直しされるのではとの懸念が広がっている。太陽光等の再エネ発電についても同様の懸念がある。しかし、昨年だけでも米国市場での50人の新規雇用のうち、1人分は太陽光発電関連のビジネスが生み出している。前年に比べて25%の増加だ。つまりすでに米経済の主要な成長市場になっているのだ。
アマゾンの今回の自社の集配・仕分けセンターへの太陽光発電整備の集中投資は、こうした再エネ市場の成長を踏まえたもので、「政権が代わっても、温暖化対策は変わらない」ことを身をもって示す意味もあるようだ。
http://www.businesswire.com/news/home/20170302005430/en/