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中国証券監督管理委員会(CSRC)上場企業発行のグリーンボンドへの投資促進のための新ガイドライン公表。資金使途はグリーン事業に厳格に限定(RIEF)

2017-03-07 23:22:38

China1キャプチャ

 

  中国の証券監督管理委員会(CSRC)は国内のグリーンボンド市場を育成するため、独自のガイドラインを公表した。中国のグリーンボンド発行の基準は、すでに中国人民銀行(PBoC)が一昨年末に公表しているが、CSRCのガイドラインは上場企業発行のグリーンボンドに対する投資促進の視点で出されたとみられる。

 

 CSRCは公表したガイドラインについて、「従来の官僚主義を排するともに、グリーンボンドの調達資金の使途をしっかり監視するための手段」と位置付けている。特に、グリーンボンドの資金使途の厳格化を強調している。

 

 資金使途はクリーンエネルギーやその他の環境保護技術等のグリーン産業に使われねばならない、と指摘。調達資金を他へ流用することを厳しく制限する旨を明記している。またCSRCとして、グリーンボンド投資を通じて、民間資金がグリーン産業に向かうことを促すための政策支援とガイダンスを強化することを公約している。

 

 中国のグリーンボンドガイドラインとしては、一昨年12月に中国人民銀行が公表した発行者向けのガイドラインがある。これによって、昨年中の中国でのグリーンボンド発行額は305億㌦と急増し、世界最大の市場となった。グローバルなグリーンボンド市場の発行額の約3割分を占めている。

 

 

 グリーンボンドの発行は順調に拡大したものの、ボンドの資金が果たして十分にグリーン事業に使われているのかという点で疑問のある発行も少なくないとされる。こうしたことからCSRCは、投資家に資金使途が明確に見えるような流通市場の改善化を目指して、今回のガイドラインを発出したとみられる。

 

 中国人民銀行のグリーンボンド発行ガイドラインは、国際的なグリーンボンド原則(GBP)との整合性をとるとする一方で、国内の事情を考慮し、一部の石炭火力発電所への投資も認めている。しかし、こうした「国内事情」重視の姿勢は、欧米の年金などの機関投資家にとっては懸念材料になっていた。

 

 これに対して、今回のCSRCのガイドラインは、資金使途についてグリーン事業以外への流用を認めない厳密な姿勢を打ち出した。このことは、当初の「国内事情」重視の姿勢を修正し、国際的な機関投資家が尊重するGBPとの整合性をとることで、中国当局がグリーンボンド市場の活発化を促そうとしていることを、市場関係者に示す狙いもあるとみられる。

 

 この点は、日本の環境省が準備する「環境省版ガイドライン案」とは対照的に映る。日本の環境省の場合、「日本ではGBPが示す原則のすべての項目を必ずしも満たさなくてもいい」と明記し、資金使途の厳格化とは異なる「緩い基準化」を打ち出そうとしているとの疑念を呼んでいる。http://rief-jp.org/blog/68140?ctid=33

 

 中国のCSRCは、グリーンボンド本格発行となった昨年1年間の経験を経て、より市場の要請に近い基準に修正しようとしているとも受け止められる。グリーン分野の事業者の資金調達を改善するため、グリーンボンド発行に際して政府の多様な政策支援策を付与する姿勢も示している。

 

 

http://english.gov.cn/state_council/ministries/2017/03/03/content_281475583659044.htm