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日立製作所。竹をバイオマス発電の燃料化に成功。高温発電が可能に。竹の伐採方法も低コスト化(RIEF)

2017-03-09 23:20:13

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 日立製作所は、竹をバイオマス発電の燃料に変える技術を開発したと発表した。竹はこれまでバイオ燃料には不向きとされてきたが、竹の成分のうち障害となるカリウムと塩素を溶出させることで、燃料化の見通しがついた。また同時に、溶出した成分も植物育成剤に利用できるという。持続可能なバイオマス再生循環システムの確立につながる期待が出てきた。

 


 竹は、戦後、タケノコの栽培や竹材の利用を目的に各地で多く植えられた。しかし、近年、需要が減少しているうえ、山林の手入れ不足から、成長力の早い竹が森林を覆う地域が増えている。こうした放置竹林の拡大防止と、伐採した竹を資源として有効活用することが課題となっている。

 

 ただ、竹は、木質に比べてカリウムが多量に含有されている。このため灰の軟化温度は680~900℃と低く、大型のボイラーで燃焼させると炉内にクリンカという溶岩を生成させ、ボイラーの機能を低下させる。また、塩素濃度が1,000~5,000ppm(0.1~0.5%)と高く、ボイラーで燃焼した場合、耐火物や伝熱管を腐食させやすい難問もある。さらにはダイオキシン類の発生も懸念される。

 

 こうしたことから、これまでは伐採しても燃料にもならず、各地で持て余された状態となっている。日立は、林野庁の補助事業「木質バイオマス加工・利用システム開発事業」の一環として、福岡県八女市と北九州市の協力で、2年間の開発研究を進めてきた。

 

 その結果、竹類のような成長の早い植物の断面は多孔質の繊維で構成されていることから、細かく微粒化して内部開放を行えば、水溶性の無機物質であるカリウムが容易に溶出できることを発見した。

 

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 そこで専用の粉砕機で竹を粒径6mm以下まで微粒化し、それを水に浸してカリウムと塩素を溶出させ、その後、脱水することでカリウム濃度と塩素濃度を大幅に低下できることに成功した。この結果、灰の軟化温度は1,100℃以上に高まり、バイオマス発電が十分に行えることを確認した。

 

 また、塩素濃度も人体に影響のないダイオキシン類レベルとされる木質バイオマス・ペレット燃料規格レベルまで抑えることができた。

 

 こうした竹の微粒化によるカリウムと塩素の溶出化は一般の竹だけでなく、孟宗竹、真竹、淡竹、さらには笹や雑草類、未利用の杉の皮でも同様の効果があることもわかった。



 竹の微粒化で溶出したカリウムや塩素などの成分からは、有害物質は検出されず、リンと窒素も微量ながら含まれていることから、植物育成剤としての利用が可能であるという。

 

 さらに、伐採した竹の収集方法にも、新たな工夫を凝らした。通常は、竹を伐採する場合、人手で竹を一定間隔で玉切りし、枝払いして集める。この作業の人件費が原料コストを引き上げる。そこで日立は、重機を活用して竹を一気に伐採するとともに、伐採直後に竹専用細断機で細断、気流搬送によりバキュームカーで収集するシステムを開発した。

 

 これにより従来の伐採収集に比べ輸送効率が3~4倍に向上、費用も従来比で3分の1から5分の1程度削減できる見通しだという。竹林バイオマス発電の普及にはずみがつきそうだ。

http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2017/03/0309e.pdf