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東京・八丈島で地熱発電所の更新 地元八丈町とオリックスが実施協定締結。出力4444kWの発電所を2022年度に稼働へ。北海道・奥尻島に次ぎ「離島には再エネ発電が似合う」(RIEF)

2017-03-10 23:53:50

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 東京都の八丈島(八丈町)とオリックスは、地熱発電利用事業の実施協定を締結した。八丈町は、八丈島を再生可能エネルギー発電による「クリーンアイランド」とすることを宣言している。そのうち、島に豊富な地熱発電を事業化する公募でオリックスを選んだ。同社は出力4444kWの発電所を2022年度に稼働させる計画だ。

 

  八丈町は「同町地域再生可能エネルギー基本条例」を定めており、同町中之郷地域の地熱資源を利用した発電事業を公募していた。その結果、1月にオリックスを選定事業者として選んだ。今回はその公募結果に基づき、実施協定を結んだもの。

 


 東京都に属する八丈島は東京から南に約290kmのところにある太平洋上の火山島。島南東部の東山(三原山)は10万年前ほどの古い火山だが、地下に地下水を通さない「キャップロック」と呼ばれる構造があり、熱水を地下に保地できることから、地熱発電所に適している。http://rief-jp.org/ct7/68178

 

 すでに東京電力が1999年に運転を開始した八丈島地熱発電所がある。同発電所の出力は3300kWだが、当初あった3本の生産井戸のうち、現在運転されているのは1本だけで更新時期を迎えている。現在は、夏季の日中など電力需要の高い時期は同社のディーゼル火力発電所(出力1万1000kW)で需要を補っているという。

 

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 オリックスは、事実上、東電地熱発電所の更新事業となる新たな発電所の建設に際して、準備に必要な各種の地下調査などを、現存の東電地熱発電所と同じ場所で実施することで、建設までの準備期間を短縮したいとしている。今回の町との協定書の締結を受けて、町や東電と調整に入る予定という。

 

 

 オリックスはこれまでも、地熱発電の開発に積極的で、現在、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の助成金を受けて、全国5カ所の地熱調査を進めている。八丈町は6件目となる。

 

 八丈島での地熱発電計画で、オリックスが採用を想定する発電方式は「シングルフラッシュ」方式という。現在の東電の八丈島地熱発電所も同方式で、国内のほとんどの地熱発電も同方式だ。同方式は地下のキャップロックを超えて深く差し込んだ生産井から、熱水と蒸気の混合物を取り出す。

 

 取り出した熱水と蒸気の混合物は、気水分離器で熱水と蒸気に分離する。そのままだと、回転するタービンのブレードに水が当たり、破損の原因となるためだ。既存の八丈島地熱発電所の場合、分離後の蒸気の温度は約170℃、圧力は0.69メガパスカル(MP、大気圧の約7倍)となっている。

 

 八丈町では、まちづくりの指針となる八丈町基本構想の中で「クリーンアイランドを目指す町」を掲げ、再生可能エネルギーの活用に取り組んでいる。その取組の一環として、既設の地熱発電所が更新時期を迎えるため、新規により発電能力の高い地熱発電所に切り替える方針を打ち出してきた。

 

http://www.town.hachijo.tokyo.jp/info/?page_id=2338