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トランプ政権による環境保護庁(EPA)への大幅予算削減・人員カットの”弾圧”に抗議、「環境正義」部門の上級顧問が辞任。ツィッターで弱者救済を要請(RIEF)

2017-03-14 17:29:15

EPA1キャプチャ

 

 米国のトランプ政権は環境保護庁(EPA)の予算の4分の1、人員を20%削減する方針を打ち出したことに抗議し、EPAの「環境正義(Environmental Justice)」部門の上級顧問のムスタフ・アリ氏が、辞任した。環境正義部門は、大気や水質の汚染等がとりわけ弱者やマイノリティ・コミュニティ等への負荷を高めることを是正する政策を展開してきた。同氏は、EPA長官に就任したプルイット氏に宛てて、弱者の現状や支援継続を訴える書簡をツイッター上で公開した。

  トランプ政権は温暖化対策や産業界への規制権限を握るEPAの弱体化を大統領選挙に際しても公然と主張してきた。その公約通りというか、今般、EPAの2018会計年度(2017年10月~18年9月)予算編成に際して、前年度より4分の1削減した61億㌦(約7000億円)に抑制するほか、職員約1万5000人のうち2割に相当する約3000人の削減案を打ち出した。

 特にアリ氏が担当する環境正義のプログラムは、すべての予算をカットする38の対象事業にリストアップされているという。予算カット対象の事業は、このほか土壌汚染地域の浄化事業、ジョージ・ブッシュ大統領が1989年に立ち上げた気候変動イニシアティブ、アラスカの先住民支援事業などが含まれる。

 環境正義部門は、黒人や先住民ら貧困層が多く住む全米1400以上の地域で飲用水を提供したり、劣悪な下水道施設や汚染土を改善する事業等を支援しているが、プルイット長官による予算と人員の削減で、十分な対策をとれなくなる恐れが出ている。

 トランプ政権は、環境正義についての考えは支持するとしながら、EPAの部局削減を優先し、今後の活動は「政策部局」に吸収して継続するとの意向を示している。

 アリ氏は1992年に環境正義部門の事務局創設に関わって以来、共和党、民主党の両政権を通じて、同部門で事業運営を円滑にするため、各地域の地元組織や州政府との調整役を担当してきた。辞任に際して、同氏はツィッターで以下の内容の書簡を公表した。

 「社会的弱者が多く住む地域では、今も環境への悪影響が残っている。特に、有色人種や低所得者、先住民らは米国市民としての平等な保護を受けられず苦しんでいる。地方でも都市でも、有毒なレベルの大気汚染や劣悪な水、貧弱なインフラという環境の中での生活を強いられている」

 「環境正義部門のようなすばらしい事業の予算削減が検討されていると聞き、新指導者は支援を必要とする人と話すべきだと思った。あなた(プルイット長官)や、あなたのチームが地域の懸念を解消し、生活を尊重する努力を続けてほしいと願っている」

 EPA2キャプチャ

 書簡はツイッター上で共有され、リツイート(転載)は1万件以上に達しているという。


https://www.washingtonpost.com/news/energy-environment/wp/2017/03/01/white-house-proposes-cutting-epa-staff-by-one-fifth-eliminating-key-programs/?tid=a_inl&utm_term=.291d6bda881e