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米コロンビア大学 石炭生産会社への投資引き揚げを決定。トランプ政権の石炭産業優遇策を「けん制」か(RIEF)

2017-03-17 00:46:23

columbiaキャプチャ

 

 米コロンビア大学は気候変動問題に対処するため、同校の資産運用の対象から、燃焼用の石炭生産企業を除外する。大学の理事会が決定した。総収入に占める石炭生産収入の比率が35%以上の企業を対象とする。トランプ政権が石炭産業優遇の政策転換を目指す中で、同大学はDivestmentを選択したことになる。

 

 理事会の決定は学長のLee Bollinger氏が公表した。理事会は決定に際して、社会的責任投資アドバイザリー委員会(ACSRI)から投資運用についての勧告を受け、投票によってその内容を支持することを決めた。また大学自身のカーボン・フットプリントを構造的に減少させていくため、CDPのClimate Change Programへ参加することも決めた。

 

 燃焼用石炭(Thermal coal)は石炭火力発電に使用される石炭。ACSRIは「石炭はエネルギー単位でみると、最大レベルのCO2排出源。世界中至るところで発電用に使われている。しかし、Bollinger氏は「現在の発電事業では、よりクリーンな複数の代替手段がすでに利用可能となっている」として、天然ガスや風力、太陽光などを示した。

 

 同大学では、大学が率先して石炭火力向け燃料生産会社への投資資金の引き揚げを宣言することで、広く一般の人々の投資行動も、気候変動対策に自ら寄与できる行動を選べることを示すことを目指していると説明している。ただ同大学は寄付等で約90億㌦の運用資金があるが、Divestmentで引き揚げられる石炭生産企業の保有株規模が、どれくらいかは開示していない。

 

 Bollinger氏は「コロンビア大学がこの種のDivestment行動をとることはあまりなかった。しかし、われわれは地球温暖化という緊急課題への責任ある対応を迫られている」と、気候変動対策の重要性を意識して、あえて行動をとったことを示唆している。

 

 さらに、大学の講義においても、多くの気候変動に対応するコースを設けているほか、多くの学生や学部スタッフ、教授などの教職員らによる持続可能性へのこれまでの多くの貢献が、今回の決定につながった、と指摘している。来月に公表する大学の多年度プランでは、現行の持続可能な大学運営に加えて、新たな対策を盛り込む見通しという。

 

http://news.columbia.edu/coal