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航空機のジェット燃料をバイオ燃料に切り替えることで、CO2排出量を最大7割削減。NASAなどの研究で立証。2020年の国際航空の排出規制に活用(RIEF)

2017-03-19 21:36:12

Airplaneキャプチャ

 

   ジェット航空機から排出されるCO2の排出量は年間、約8億㌧とされるが、石油からのジェット燃料をバイオジェット燃料に切り替えると、最大で7割カットできることが、米宇宙航空局(NASA)などの研究で判明した。

 

 バイオジェット燃料のCO2削減効果が実証されたことで、バイオ燃料開発にさらに拍車がかかる期待が高まりそうだ。

 

 今回の実証実験はNASAとドイツ、カナダの科学者が共同で行った。それによると、国際的な航空便によるCO2排出量は7億8100万㌧(2015年実績)で、世界の人為的CO2排出量の2%、交通機関全体のCO2排出量の12%を占めている。

 

 国際航空便からのCO2排出は、これまでの各国の削減義務・目標の対象外となってきた。しかし、昨年9月、国際民間航空機関(ICAO)が、各国の国際線の航空機が飛行中に排出する温室効果ガス排出量を、2020年の水準で維持するとともに、21年以降の増加分については排出枠の購入を各航空会社に義務づけることで合意した。http://rief-jp.org/ct4/64928

 

 このため航空各社は、CO2排出量の少ないエネルギー効率のいい新型機の導入や、将来のカーボンクレジットの購入等の検討を迫られることになる。しかし、いずれも航空各社に追加的費用負担を迫ることになる。

 

 これに対して、バイオジェット燃料はCO2排出ゼロとカウントされることから、導入の期待が高まっている。今回の研究調査により、バイオジェット燃料を使用とした航空機の場合、大幅なCO2削減が実際に可能になることが立証されたことになる。またバイオ燃料を使用すると、ジェット機が航行後に大気中に残存する飛行機雲も減少するという。

 

 NASAは米カリフォルニア州にあるアームストロング飛行センターで、モニター航空機としてDC-8を活用、異なった燃料を使用して飛行テストを実施した。

 

 実験に使ったバイオ燃料は、小麦の輪作作物として栽培されるカメリナ・サティバからとれる水素処理エステルと脂肪酸(HEFA)を使用した。その結果、CO2排出量は最大で7割から5割の減少結果をられたという。HEFAはすでに一部の航空機に活用されており、今回、その削減効果が実証された形だ。

 

 航空機のジェット燃料に使えるバイオ燃料は、自動車の燃料用に使われる穀物やサトウキビから精製するエタノールでは、エネルギー密度(リッター当たりのエネルギー)が低過ぎて、現在のジェットエンジンには適用できない。しかしHEFAなどの水素処理したものは、現行の航空機でも使用可能となる。

 

 また航行中の飛行機からの水蒸気排気は、超高度の大気中に飛行機雲を残すが、これらは氷の結晶を増やし巻雲を形成し、温暖化効果を一段と高めることになる説(Nonsensical chemtrails conspiracy theory)もある。同現象が起きると、巻雲下の大気温度は最高で10°まで上昇するという。

https://www.engadget.com/2017/03/16/biofuels-make-air-travel-up-to-70-percent-greener/