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IHI、東南アで、現地のパーム油製造工場向けに環境汚染対策事業化。排水処理と古木処理。メタンガス回収で温暖化対策にも資する(各紙)

2017-03-23 17:10:12

Palmoilキャプチャ

 

 各紙の報道によると、IHIIは東南アジアでパーム油産業の環境汚染対策を事業化する。パーム油の製造過程で出る排水処理と、果実の収穫減少に伴い廃棄される古木処理向け設備を現地の製造工場等に販売する計画という。メタンガス回収で温暖化対策にも資する。事業化は2018年度から開始する予定。

 

 

 日本経済新聞が報じた。パーム油はアブラヤシの果実から得る植物油。食用油となるほか、マーガリン、石鹸等の原料としても広範囲に利用されている。特にインドネシアやマレーシアでは、全世界の約8割を生産している。

 

 パーム油の生産で問題になるのは、製造時の排水や、果実を採取した後の古木の処理などがあげられている。排水は水質汚濁や腐敗によって温室効果ガスを放出する原因にもなっている。このため、マレーシア政府は現在、排水放流基準の強化を検討しているという。

 

 IHIはこうした規制強化の展望を踏まえ、排水処理技術の導入事業化が可能になると判断した。すでにIHI子会社のIHI環境エンジニアリングと国際農林水産業研究センター(JIRCAS)が、2014年度からマレーシアで実証試験を行っており、その成果をベースに18年度をメドに事業化に踏み切る予定という。

 

 排水処理では排水を発酵反応器「ICリアクター」で処理しメタンガスを回収する。その後、排水は後処理工程を経て、汚染数値を低下させてから河川に放流する。IHIとJIRCASが開発した方法だと、従来なら90-120日間も要していた処理時間を2日に大幅短縮できるという。工場からのメタンガス排出量は、マレーシアの場合で1工場当たり年1500㌧とみられる。

 

 メタン回収で温室効果ガスの排出を抑える一方で、回収したメタンは工場の発電燃料として使うことになる。IHIは設備のEPC(設計・調達・建設)やO&M(運用・保守)の受注の両方を狙う。中長期に同事業で世界シェア1割以上の獲得を目指す。

 

 一方のパーム古木は含水率が高く、木材としての再利用は難しい。そこで古木を破砕・チップ化して水に浸漬し、糖液を取り出す。ICリアクターでその糖液からもメタンを回収した後、残留物をペレット化してボイラー燃料として販売する。IHIはパーム古木由来のペレット製造事業の製造工場を現地に建設することも検討するとしている。

https://www.ihi.co.jp/