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「信州発」の小水力電力 4月から、東京・世田谷区の40の区立保育園に供給。FIT価格より高く買い取り、区には大手電力より安く販売へ(RIEF)

2017-03-24 16:42:05

naganodam1キャプチャ

 

 長野県は4月から、県内で発電する県営小水力発電所の電力を、東京都世田谷区に販売する。第一弾として、区内の約40の区立保育園に「信州発」の電力を供給する。東京は都内に不足する再エネ電力を補い、都市の持続可能性を高めることができる。

 

 長野県が売電するのは、4月に伊那市で稼動する高遠発電所(最大出力180kW)と、長野市の奥裾花第2電所(980kw)の二つの小水力発電ダムの電力。丸紅が設立した丸紅新電力が固定価格買取制度(FIT)の買取価格に1kWh当たり0.5円上乗せして買い取る。

 

 買取価格は、発電能力が200kW未満の高遠の場合は、1kWh当たり34.5円(税抜き)となり、200kWhを超える奥裾花の場合は、同29.5円となる。丸紅新電力は買い取った価格を、新電力の「みんな電力」に卸し、同電力が世田谷区に販売する流れとなる。

 

 今回の販売は、年間約180万kwh、世帯換算で約500世帯分の電力となる。世田谷区は区内の二酸化炭素(CO2)排出量削減につなげるほか、大手電力から切り替えることで、40の保育園の年間電気料金を従来の約6000万円から8~10%程度安く抑えることができるという。

 

 長野県は現在14基の県営水力発電所を運転している。合計の発電量は、9万9050kWで、年間10万世帯分を供給できる。今後の県営水力発電所は大きなダムではなく、小水力発電を増やす方針。今回の小水力発電所はいずれも既存の「高遠ダム」、「奥裾ダム」のそれぞれ放流地点の直下に建設し、ダムが放流する水のエネルギーを活用して発電する。

 

 今後、県では2019年度末に1基、20年度末には2基の新たな小水力発電所を稼働させ、県内での利用のほか、都内など県外への販売も積極的に進めていく方針という。県企業局は「再生エネの販売で自治体間の交流を深め、都市に住む人に長野県を知ってもらうきっかけにしたい」(電気事業課)と指摘している。

 

 世田谷区などでは、電力コストの低下に加えて、保育園児や周辺住民への再エネへの理解を深める「使う教材」としての評価も持っている。同区では5月下旬から群馬県川場村から木質バイオマス発電の電力供給設ける予定。

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