HOME13 原発 |東芝傘下の原子力子会社米ウエスチングハウス(WH)、連邦破産法11条を申請。負債総額1兆900億円規模に。東芝の原発海外販売戦略、事実上の停止へ(各紙) |

東芝傘下の原子力子会社米ウエスチングハウス(WH)、連邦破産法11条を申請。負債総額1兆900億円規模に。東芝の原発海外販売戦略、事実上の停止へ(各紙)

2017-03-30 01:30:43

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 各紙の報道によると、経営再建中の東芝傘下にある米原子力大手ウエスチングハウス(WH)は29日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。これに先立ち、東芝は同日午前の取締役会で、WHの申請方針を事前承認した。東芝は海外での原発事業から事実上、撤退することになる。

 

 WHは原子力建設サービス会社を2015年末に買収した。だが、人件費や材料費など想定外の費用が膨らみ事業継続が困難となり、今回の破産法適用に踏み切らざるを得なくなった。東芝はWHを切り離し社会インフラを中心とした事業構造への転換を急ぐとしている。

 

 だが、WHには総額7934億円の債務保証をしており、その債務の肩代わりを求められる可能性があるほか、建設中の原発新設工事を停止することで、違約金などの支払いも想定される。したがって、WH処理の負担は98億㌦(約1兆円)規模に膨らむとみられている。

 

 WHは現在、米国や中国で合計8基の原発を建設中。核燃料や関連サービス部門は堅調だが、原子炉の新設は規制強化などを背景に工期が遅れ、建設費が高騰し、赤字の元凶になっている。さらに原子力サービス会社の買収で巨額損失を抱え込んだことから、親会社の東芝の経営危機につながった。建設継続中の米国2カ所の原発計画は、破産法適用後も続ける見通しという。

 

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 東芝の決算内容が、17年3月末時点の債務超過であるという状況は変わらない。債務超過額は6200億円前後にまで拡大する見通し。東芝は債務超過状態を解消するため、稼ぎ頭の半導体事業を分社化し、その株式の過半を売却することや、銀行団からの数千億円規模の融資でWHの法的処理に備える。

 

 報道によると、WHは破産法適用の申請後の有力支援企業として韓国電力公社グループに協力を要請している。さらに、シャープを傘下に収めた台湾の鴻海精密工業や、中国の原発企業が名乗りを上げる可能性もあるとされる。

 

 東芝は2006年にWHを買収して以来、WHを内外の原子力事業の中核と位置付けてきた。しかし、国内では東京電力福島第一原発の事故で、新規原発建設需要が低迷してきた。15年に会計不祥事が発覚し、選択と集中の業務見直しを実施したが、その際も原発を企業再建の柱とする姿勢は変えてこなかった。

 

 しかし、米原子力事業で巨額損失を計上する見通しとなったことで、WHを早期に連結対象から外す。WHは、1886年に米ペンシルベニア州ピッツバーグで設立された総合電機メーカーが原点。1957年に米国初の原発を建設した原発メーカーの老舗格。

 

 99年に原子力部門を英国核燃料会社(BNFL)が買収し、それを東芝が、2006年に約4900億円(当時の為替レート)で77%の株式を取得していた。のちに87%まで比率を上げた。世界20カ国以上に原子炉や核燃料製造、原子力関連サービスなどの拠点を持つ。傘下企業は約80社、従業員数は約1万2000人。15年度の売上高は5000億円規模。

http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20170329_1.pdf