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トランプ米大統領の温暖化対策後退指示に、ニューヨークとカリフォルニアの両知事が「反対」の共同声明。温暖化対策の目標堅持を宣言。連邦政府対主要州政府との綱引きに(RIEF)

2017-03-31 18:14:38

カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事

 

 カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事と、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は、トランプ米大統領がオバマ前政権の石炭火力発電所規制を撤回する大統領令に署名したことに対して、反旗を翻す共同声明を発表、州内の温暖化ガス排出量を2030年までに40%、50年には80%削減する目標を堅持すると宣言した。

(上の写真は、カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事)

 

 トランプ大統領は3月28日、オバマ前政権が地球温暖化対策のために導入した石炭火力発電所のCO2排出規制「クリーン・パワー・プラン(CPP)」を停止する大統領令に署名した。CPPは米国がパリ協定で国際公約した温暖化ガス排出削減目標達成の中心政策で、CPPの廃止は事実上、パリ協定の合意の“放棄”を意味するとみられている。http://rief-jp.org/ct4/68767?ctid=70

 

 こうした動きに対して、温暖化対策を先行的に実施しているカリフォルニアとニューヨークの両知事は、「ワシントン(トランプ政権のこと)が不在でも、一緒でも、われわれは気候変動と懸命に闘い、われわれの未来を守るために、世界中のパートナーと協働していく」と宣言した。

 

ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事
ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事

 

 両知事は、トランプ大統領がCPPを撤回する指令を出したことに対して、「大きな失敗であり、基本的な科学的知見を無視している」と批判した。さらに「気候変動は現実のものである。懐疑論やレトリックで否定できるものではない。われわれは気候変動から社会を守るための明確な行動を支持し、米国の多数の国民とともに前進していく」と述べた。

 

 両州の温室効果ガス排出量は全米の約10%。すでにCPPを先取りして、ビルや自動車などの省エネ化や、再生可能エネルギー発電への支持など、CPPが求める以上の温室効果ガス削減政策を展開している。両州の温暖化ガス排出削減の目標は、2030年までに40%削減(90年比)のほか、2050 年に80%削減で共通しているほか、2030年までに州内の電力供給の半分を再生可能エネルギーに切り替える方針を決めている。

 

 トランプ大統領の指示は、CPPに関するオバマ前政権の大統領令や覚書等を撤回する内容。だが、CPPは基本的に各州が州法によって石炭火力発電所への温暖化ガス規制の強化を求める仕組みだ。このため、州知事が大統領指示を受けて、自動的に政策変更をするものでもない。州内の経済界や市民が州の方針を支持すれば、国が温暖化対策で後退しても、州の政策は堅持される可能性は強い。

 

 両州知事にとって、今回の大統領令への”反旗”は自らのリーダーシップを州民に問う形でもある。両州は米国民の5分の1の人口を抱えるだけに、米国の温暖化政策を二分するような、連邦政府と州政府の対立の構造は、今後の国際的な温暖化政策や交渉にも影響を及ぼしそうだ。

https://www.gov.ca.gov/news.php?id=19726