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中国が共産党機関紙で、トランプ政権の温暖化対策撤回指示の大統領令を「わがまま」「政治的利己主義」と強く批判。6,7日の米中首脳会議でも論点に(RIEF)

2017-04-01 23:43:40

GlobalTimesキャプチャ

 

  中国は、トランプ政権が打ち出した温暖化対策からの後退宣言を「わがまま」、「政治的利己主義は抑制されるべき」と厳しく指摘した。中国共産党の機関紙「人民日報」の国際版Global Times(環球時報)で批判記事を掲載した。6,7日に予定される米中首脳会談でも温暖化対策へのスタンスの違いが焦点の一つになりそうだ。

 

 同紙は3月30日付で「トランプ氏は気候変動合意を守るよう、もっと迫られるべきだ(Trump must be urged to save climate deal)」と題した社説を掲載した。米中首脳会談を控えての掲載だけに、中国の「正論」を示した形だ。

 

 同紙はトランプ大統領が3月28日に、オバマ前政権が温暖化対策で打ち出した石炭火力発電所規制の「クリーン・パワー・プラン(CPP)」の撤回等を求める大統領令に署名したことを取り上げ、「この大統領令は化石燃料産業への規制を緩めるもので、気気候変動対策から撤退しようという政権の意図を示している」と指摘した。


 Xiキャプチャ

 

 またこれまで、温室効果ガス排出量で1位と2位の両国が、2014年末に米中がパリ協定の成立に向けて合意し、率先して目標を掲げてきた経緯を紹介。「米中合意に基づき、中国はGDP当たりの排出量削減を進めている。しかし、一方の米国はパリ協定を実行しようとする多くの国々のやる気を削ごうとしている」として、米中のスタンスの違いを強調した。



 欧州などには、米国の後退の埋め合わせを中国に期待する声が多い。その点を意識してか、社説では「米国は温暖化ガス排出量が多いが、同時に削減技術でも優位性を備えている。まさに世界の唯一のスーパーパワー」と持ち上げる一方で、「中国はまだ発展段階だが、排出削減と経済成長のバランスを維持しつつパリ協定の推進を義務と感じている」と、米中の違いを改めて指摘している。

 

 さらに、「もし中国やロシアが、パリ協定を危うくするようなことをすると、国際社会から厳しく批判されるだろうが、米国への欧米メディアの批判はどこか甘い」と、米国追随の国際世論をチクリと批判。米国の政策転換によって生じるパリ協定の空間を、中国に埋め合わせさせようという論調にも、「中国がどれだけ懸命に温暖化対策をやっても、米国の代わりはできない」と距離感を示した。

 

Trumpキャプチャ

 

 そのうえで、念を押すように、「中国はまだ当分の間は、世界最大の発展途上国に留まり続ける。したがって、欧米の最強国家のために、われわれの成長の余力を犠牲にすることが求められるのかは考えられない」とも述べている。



 またトランプ政権が公約したイスラム教徒の入国制限問題を、複数の州が法的措置を講じて阻止している事実を指摘、「米国人は同様の行動を気候変動問題でも取れるはずだ」と述べ、「米国の温暖化政策の転換は米国の問題であり、中国が肩代わりできる問題ではない」とのスタンスを繰り返した。

 

 Global Timesの論調は、米中首脳会議を前にして、中国が「米国の肩代わり論」が求める追加的な温暖化行動への要請を、明確に否定することに力点を置いたものといえる。もっとも、トランプ政権が中国の姿勢を受けて、温暖化対策に前向きになるとも思えない。となると、パリ協定の推進力不足は一段と明確になる可能性がある。

 

http://www.globaltimes.cn/content/1040255.shtml