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積水化学工業、「太陽光なしで『屋内』でも発電できる太陽電池」開発。曲げたり、テープに貼り付けも可能。2017年度から販売へ(RIEF)

2017-04-02 21:21:50

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 積水化学工業は、室内でも太陽光発電ができる「フィルム型色素増感太陽電池(DSC)」の量産プロセスを世界で初めて完成させた、と公表した。

 

  太陽光の日射を直接受けなくても、スーパーの店内や大型駅の待合室などの照明で発電できるという。薄く軽いフィルム状のため、曲げたりテープに加工して貼り付けることもできる。2017年度から販売を開始し、25年度に売上高100億円規模を目指すという。

 

 開発したのは積水化学工業のR&Dセンター。室温プロセスによるフィルム型色素増感太陽電池(DSC)のロール・ツー・ロール量産技術(ロール状の材料フィルムをほどきながら加工し、またロール状にする連続生産技術)を完成させ、同社のつくば事業所に2万㎡/年の生産能力を持つパイロット生産機を導入した。

 

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 DSCは、二酸化チタンなどの酸化物半導体層に色素を吸着し、光電変換層として利用する有機太陽電池の一種。一般的には、結晶シリコン太陽電池と同様にガラス基板上に半導体層を形成したガラス板形状のものが多い。

 

  これに対して積水科学が今回開発したのは、光を電気に変える半導体の膜をプラスチックフィルムの基板の上に載せるフィルム型DSC。また、大規模な設備が無くても、低コストで生産できるメドがついたという。半導体層の形成には、通常約500℃での焼成が必要となる。

 

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 フィルム型SDCの特長は、「低照度発電」「薄い」「軽い」「曲がる」「貼れる」の5要素が実現できるという。このため、従来太陽電池が設置できなかった場所でも応用できる。たとえば、発電は照度500クス以下で可能、薄さは1mm以下、軽さはガラスの10分の1、といった利点がある。

 

 こうした特長を生かして、住宅やオフィスなどの屋内空間だけでなく、車内、地下街など様々な場所で使用できる。同社では、まず2017年度は、手始めに駅構内や公共空間での電子広告や、工場、オフィスなどでの温度センサーや人感センサーなどのIoT分野での独立電源などとして発売する。

 

https://www.sekisui.co.jp/news/2017/1302064_29186.html