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「水素スマートシティ構想」を掲げる神戸市、神戸港での水素発電で捻出したCO2削減のカーボンクレジットを企業向けに売買へ。2018年度にも実施(各紙)

2017-04-04 21:15:54

kobeキャプチャ

 

    各紙の報道によると、2017年度から水素を燃料とする電力供給を開始する神戸市は、その水素発電でCO2排出量を削減することで生じるカーボンクレジットを売買する仕組みを、18年度にも導入する。三井住友銀行などが実現に協力する。地域内でのカーボン排出量取引は東京都や埼玉県が導入しているが、水素発電を軸にクレジット売買を行うのは初めて。

 

 日本経済新聞が報道した。神戸市では「水素スマートシティ神戸構想」を打ち出している。海外の未利用エネルギーを利用して液化水素を製造・貯蔵及び海上輸送し、神戸港に荷揚げして輸送・利用する大規模な水素エネルギーサプライチェーン構築を目指している。

 

 その一方で、17年度末に大林組や川崎重工業などとの官民連携で、神戸港にある人工島のポートアイランド内で、自ら水素と天然ガスを使う発電所を設置する事業も進める。発電した電力は、周辺の公共施設などに供給する全国初の水素電力の地域供給を実施する。発電量は住宅換算で約2000世帯の年間消費量分。

 

 水素発電は発電に際してCO2を排出しないことから、CO2を削減したのと同じ効果が生まれる。この削減分をカーボンクレジット(排出枠)として市内に事業所がある企業などに売却する。クレジット価格は1㌧当たり約1500円をめどとする見通し。

 

 神戸市は、東京都などのように排出削減義務を企業に課す制度導入の計画はない、としている。ただ、国の省エネ規制が厳しくなることから、企業がCO2削減を進めるために補助的手段として購入する期待がある。また、購入した企業には「環境配慮」を示すマークを使うことで、市場や顧客に「環境配慮企業」としてのブランドを強調できる。

 

 クレジット売買の制度化については、三井住友銀行の担当者や有識者らを集めた検討チームを設置し、具体化する。取引の適切性を認証する事務局の設置も検討する。取引は18年度の運用開始を予定しているという。水素社会移行と温暖化対策の先進都市としての神戸をアピールし、関連企業の誘致促進も目指すとしている。

 

 同市は2020年度に、神戸港で液化水素の輸入基地も稼働させる計画で、稼働後に水素発電所が増える可能性もある。神戸市の久元喜造市長は「CO2抑制やエネルギー源多様化のため、水素社会はわが国の重要テーマ」と強調している。

https://www.khi.co.jp/rd/news/detail/20160401_1.html